2023年　2月　マウスピースについてのお話

先日『マウスピース矯正」患者の集団提訴事件が起こり、全国ニュースとなりましたが、現在、矯正用のマウスピースを使用中の患者の皆さんは大変不安になっているのではないかとおもいます。

事件の概要としては、マウスピースを使用した矯正治療で、治療費を先払いのローンを組ませた後に、モニター契約すれば（治療の経過をモニターとして情報提供する契約）月々のモニター契約料がキャッシュバッグされ実質無料で治療出来るという事で治療を開始したものの、治療の半ばでキャッシュバッグの入金が途絶え、医院も突然閉鎖してしまうといった事件ですが、

問題は治療費のことだけでなく、中途半端な治療で健康被害が出てしまっていることです。

（この件については、以前から矯正歯科界でも危険視されており、先日当院のホームページのトピックスで書いておりますので、詳細はそちらをご一読いただければと思います。2022年　10月　アライナー治療（透明マウスピース型矯正装置）について）

今回の事件により、現在当院でマウスピースで矯正治療をしている御本人やご家族、また、知人友人の方がマウスピース矯正をしていると聞いた方達も『自分達も危ないのではないか？」『マウスピース矯正自体、大丈夫なのか？」といった不安に駆られているのではないでしょうか。

一口にマウスピースと言っても、様々なものがあります。

基本的にお口の中に着脱可能な物は何でもマウスピースと呼ばれますので、「マウスピース＝危険」という認識にならないでいただければと思います。本来はそれぞれ機能や目的別に正式な名称があるのですが、患者さんには覚えにくいためどうしても説明の際にシンプルに「マウスピース」と言ってしまいがちです。

例えば「車」と言っても「トラック」なのか「軽四」なのか、更には車種で色々な名前がありますが、会話のなかで、交通手段として話しをするときに、いちいち「カローラクロスHEVで来ました」とかは言わないですね。

では、どんなマウスピースがあるのかというと、本当に車の車種と同様にたくさんあり、わけが分からなくなりがちですが、文末にいくつかサンプル写真を上げてみましたのでご参考までに。

今回問題となったマウスピース矯正のマウスピースは、矯正では主に「アライナー」と呼ばれるタイプの物です。

この「アライナー」自体の見た目も、矯正治療の後で歯並び歯並びをキープする保定のために使うマウスピースで「リテーナー」と呼ばれる物や、歯を白くするホワイトニングで使用する「ホワイトニングトレー」と非常によく似ているので、混同しがちかと思います。現在ホワイトニングや保定中の方々も不安にならないでいただきたいです。

顎の関節の治療に使う「スプリント」も種類によっては似た様な見た目の物があります。

そもそも「アライナー」自体も正しく使えば矯正装置としては決して問題のあるものではありません。不誠実な歯科医や診療であればどんな治療装置を使っても今回の様な問題は起こります。

要は不誠実な歯科医や診療を見分ける事が重要であり、難しくもあるのですが、出来る限りの対策としては、自分自身で良く調べ知識を蓄えることではないでしょうか。

確かにカタカナの名前は覚えにくいですが、「難しいことはよくわからない」と放り出してしまわず、何度も繰り返し色々な情報を読み込めば、多少は予備知識も出来ますし、その上で、受診した医院で良く話を聞いてみましょう。他人の紹介を鵜呑みにして、一部の偏った知識だけで判断したり（この点インターネットはユーザーの好みを反映して、似たような情報を紹介してくる傾向がありますので、検索の際に注意か必要です。）、うまい話に飛びついたりせず、出来れば複数の医院を回って話を聞いてみるのもいいと思います。

マウスピース色々

既製品でない限り、マウスピースは各個人の歯型を採って治療の目的に合わせた形で作りますので、一つとして同じものはありません。同じ種類のマウスピースでも形は様々です。

アライナー

※インビザラインやクリアアライナーなど製造メーカーの名前で呼ばれることも多い