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2020年 8月 MBSによる抜歯治療の流れ

当ホームページ、『治療法と治療装置』のページでもご紹介しました固定式装置MBS(マルチ ブラケット システム)ですが、今月のトピックスでは、実際の患者さんの症例を治療経過に沿ってご紹介していきたいと思います。実際の治療の期間や手順など参考にしてみてください。

<症例1 13歳 女子 下顎前突 MBSによる抜歯治療例>

初診 相談 (7歳1ヶ月 )
下顎前突の程度が強く、将来抜歯治療になる可能性が高いことと、まだ前歯部がすべて乳歯だったため前歯の永久歯が生えてから治療を開始したほうが良いことを説明する

再相談 (13歳6ヶ月)
完全にすべての永久歯に生え変わっているので、現状ではおそらく固定式の装置MBS(マルチ ブラケット システム)を用いた抜歯での治療が適しているであろうことを説明する



検査(13歳7ヶ月)
現状を分析するためX線・写真・歯型などをとる



診断(13歳8ヶ月)

治療方針等説明する。

上顎の左右第二小臼歯と下顎の左右第一小臼歯の抜歯にて上下顎MBSによる治療。抜歯することにより、上顎の叢生(八重歯や凸凹)改善のと受け口の下顎歯列を小さくするのスペースを確保する。(仮に抜歯をせずに凸凹を並べた場合、歯列のアーチが一回り大きくなり、口元が出っ張った上下顎前突になってしまう。)

抜歯する歯は審美性と咬合に影響の少ない小臼歯とする。小臼歯は抜歯治療の場合において、最も基本的な抜歯部位であり、特別な理由がない限りは第一選択となる。(前歯である真ん中から犬歯までの各3本は正面から見た場合の審美性に大きく影響する。4本目以降の臼歯のうち、4.5番目のやや小さめの臼歯が小臼歯、6.7番の大きい歯が大臼歯。大臼歯は咬合の中心である。)

 同日
患者のかかりつけの歯科に抜歯依頼する

治療開始(14歳0ヶ月)
抜歯完了につき、下顎の前歯より装置を装着し、以後、月に一度のペースで装置を調整
第一ステップとして上顎大臼歯から下顎前歯6歯を口腔内ゴムで牽引し、前歯の反対咬合を改善し、 その後、装置を増やしながら抜歯スペースを閉鎖していく (下図参照)

下顎前突


治療開始から8ヶ月(14歳8ヶ月
抜歯部分のスペース閉鎖が完了したところ 下顎前歯を内側に移動させた分、前歯の内側への傾斜が強くなり、咬み合わせが深くなっている
さらにアーチワイヤーを換えながら全体の咬み合わせを微調整していく



治療終了 治療開始から1年7ヶ月 (16歳3ヶ月)
装置撤去
今後は歯並びを安定させる為の保定として前歯の内側に極細ワイヤーを直留めして、前歯の凸凹が戻らないようにし(フィックスド リテーナー)、取り外し式の保定装置で歯列全体のアーチを維持しながら、3ヶ月に一度のペースで定期健診を続けていく

<保定装置>上顎OH型ワイヤーリテーナー 下顎SHR + フィックスド リテーナー
*治療終了直後は食事中以外は一日中装着し、徐々に使用時間を減らして安定させていく
保定と保定装置について ⇒ 詳細 保定




治療終了から1年2ヶ月
順調に安定している様子が見られるので、ワイヤーリテーナーを夜間のみ使用・SHRの使用中止に変更

保定 治療終了から2年6ヶ月
やや、モチベーションが下がってきたのかワイヤーリテーナーを週1くらいしか使用していないとのことだが、咬み合わせは安定しているようなので、引き続き経過観察

保定期間終了 治療終了から3年 (19歳3ヶ月)
美しい歯並びをキープしている。




 
<症例2 14歳 女子 叢生 MBSによる抜歯治療例>

 初診 相談 (14歳11ヶ月 )
完全にすべての永久歯に生え変わっているので、固定式の装置MBSでの治療が適しているであろうことを説明する。
また、叢生(歯並びの凸凹)の度合が強いので、口元の前突感を避けるための抜歯の必要性についても説明。

*口元の前突感と抜歯の必要性について 抜歯と非抜歯

検査(14歳11ヶ月)
現状を分析するためX線・写真・歯型などをとる
 




 
診断(14歳11ヶ月 検査より二週間後)
治療方針等説明する。叢生(歯並びの凸凹)改善による、口元の前突を避けるため、上顎の左右第一小臼歯と下顎の左右第二小臼歯の抜歯にて上下顎MBSによる治療になる事を説明。(抜歯部位の選択理由は症例1参照)

 同日、上の奥歯に装置を入れるための準備を行う。奥歯の位置が抜歯後勝手に前方に移動するのを防ぐため、抜歯の前に一部装置を入れる必要がある。

15歳1ヶ月
奥歯に抜歯用の装置を入れる。かかりつけ医に抜歯依頼。
 
15歳3ヶ月
抜歯完了につき、上顎よりMBS装置を装着し、翌月下顎にも装着。以後、月に一度のペースで装置を調整
細く柔らかいワイヤーから太く硬いワイヤーに段階を追って交換し、歯の凸凹をまっすぐに配列していく。
 
16歳5ヶ月
抜歯したスペースはすべて閉鎖し、並びも良くなって最終段階の上下の咬み合わせのバランスを整える段階。
まだ、全体的にしっかり咬めていない。




 
治療終了(17歳1ヶ月)
装置撤去&保定
上顎OH型ワイヤーリテーナー&下顎SHR+上下フィックスドリテーナーにて保定。3ヶ月ごとの定期観察中。

 


治療データ詳細

<症例1>

主訴:受け口  診断名:骨格性下顎前突、叢生  年齢:13y7m  

治療装置:マルチブラケット装置  抜歯部位:上顎両側第二小臼歯、下顎両側第一小臼歯  

治療期間:1年7か月 治療費:矯正管理料として60万円(検査料・処置料別途)

矯正歯科治療に伴う一般的なリスクや副作用について:<症例2>と同

<症例2>

主訴:乱ぐい歯  診断名:上顎前突、叢生  年齢:14y11m  

治療装置:マルチブラケット装置  抜歯部位:上顎両側第一小臼歯、下顎両側第二小臼歯  

治療期間:2年0か月 治療費:矯正管理料として60万円(検査料・処置料別途)

矯正歯科治療に伴う一般的なリスクや副作用について:

① 最初は矯正装置による不快感、痛み等があります。数日間~12 週間で慣れることが多いです。 ② 歯の動き方には個人差があります。そのため、予想された治療期間が延長する可能性があります。 ③ 装置の使用状況、顎間ゴムの使用状況、定期的な通院等、矯正治療には患者さんの協力が非常に重 要であり、それらが治療結果や治療期間に影響します。 ④ 治療中は、装置が付いているため歯が磨きにくくなります。むし歯や歯周病のリスクが高まります ので、丁寧に磨いたり、定期的なメンテナンスを受けたりすることが重要です。また、歯が動くと 隠れていたむし歯が見えるようになることもあります。 ⑤ 歯を動かすことにより歯根が吸収して短くなることがあります。また、歯ぐきがやせて下がること があります。 ⑥ ごくまれに歯が骨と癒着していて歯が動かないことがあります。 ⑦ ごくまれに歯を動かすことで神経が障害を受けて壊死することがあります。 ⑧ 治療途中に金属等のアレルギー症状が出ることがあります。 ⑨ 治療中に「顎関節で音が鳴る、あごが痛い、口が開けにくい」などの顎関節症状が出ることがあり ます。 ⑩ 様々な問題により、当初予定した治療計画を変更する可能性があります。 ⑪ 歯の形を修正したり、咬み合わせの微調整を行ったりする可能性があります。 ⑫ 矯正装置を誤飲する可能性があります。 ⑬ 装置を外す時に、エナメル質に微小な亀裂が入る可能性や、かぶせ物(補綴物)の一部が破損する 可能性があります。 ⑭ 装置が外れた後、保定装置を指示通り使用しないと後戻りが生じる可能性が高くなります。 ⑮ 装置が外れた後、現在の咬み合わせに合った状態のかぶせ物(補綴物)やむし歯の治療(修復物) などをやりなおす可能性があります。 ⑯ あごの成長発育によりかみ合わせや歯並びが変化する可能性があります。 ⑰ 治療後に親知らずが生えて、凸凹が生じる可能性があります。加齢や歯周病等により歯を支えてい る骨がやせるとかみ合わせや歯並びが変化することがあります。その場合、再治療等が必要になる ことがあります。 ⑱ 矯正歯科治療は、一度始めると元の状態に戻すことは難しくなります。