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2014年 11月 症例 入れ歯と歯周病と矯正治療 2

さて、前回ご紹介しました、42歳 女性 下顎前突の全顎のマルチブラケット症例、今月は治療編です。

まずはおさらい。初診時の状態です。(2014年  10月  症例 入れ歯と歯周病と矯正治療 1 )

                

   

   
     <前歯の入れ歯> 



、、、ということで、
やるべきことは満載なのですが、まず第一に手をつけなくてはいけないのは矯正治療中に前歯の入れ歯部分をどうするか?!という問題です。
両脇の歯は治療で動かさなければいけませんので固定源には出来ません。
そこで、考えたのは奥歯の比較的しっかりしている第一大臼歯からアームを出して前歯を維持する方法です。


奥の大きい歯がアーチ状の太いワイヤーでつながっていますね。さらにそこからやや細いワイヤーのアームがでており真ん中の人工の前歯をささえています。

人工歯と両脇の歯はワイヤーと接着剤で固定してしっかりつなげています。
この仕組みは一石二鳥で、人工歯と両脇の二本の歯を連結し、アームの力でこれらの歯を押し下げて下顎の歯との逆になっている咬み合せを乗り越えやすくします。
正面からみるとこのようになっています。

動かし初めてすこしたっているので真ん中の人工歯が短く見えますが、下の前歯との隙間分、両脇の歯ごと押し下げられたということです。
同じく横から見た写真ですが、前歯の移動と平行して、下顎の歯と横の歯も凸凹を並べていきます。
 
治療開始5ヶ月
前歯の咬み合せが浅くなってきましたので、次のステップへ

今まで前歯と、左右の犬歯以降の奥歯の3つ部分に分けて動かしてきた歯を一本のワイヤーにつなげて、アーチの形を整えながら、前歯の逆咬みを改善していきます。
写真は7ヶ月目のものですが。上の前歯の表側にもブラケットが装着され外へ向かって移動中です。

人口歯は動かさないので、ワイヤーを迂回させています。
正面から見ると、右の前歯(写真左)はすでに下の前歯を越えて正常咬合になっているのがわかりますね。
中央の人口歯は引き続き裏側で奥歯から固定されていますので、実はブラケットは必要ないのですが、
患者さん本人より、「真ん中の歯だけ装置が着いていないと見た目のバランスが気になる」とのことで装着しています。

後は不要な歯の隙間を閉じながら咬み合せを整えていきます。
写真ではわかりにくいのですが、上顎のアーチの奥歯の部分が狭く、下顎の歯ときちんと咬み合っていません。

歯の数と咬み合せのバランスからいって、すべての隙間を閉じるのは不可能なので、上の前歯と右上の5番目、左下の奥から二番目の歯は矯正治療終了後、ブ リッジを製作する予定でかかりつけの一般歯科の先生と連携をとりながら、ブリッジの部分に歯のサイズ分の隙間をあつめていきます。

下顎の前歯は接着性ブリッジ(上、初診時図解参照)の真ん中の人工歯の部分は少しずつ小さくしながら隙間を閉じていき天然歯のみにします。
治療開始1年10ヶ月後です。
ずいぶん整ってきました。
右上2番と3番目の間に(写真では左上)まだ隙間があります。

奥歯の咬み合せを整える必要があるので、
前歯の人工歯とつないでいた内側の太いワイヤーははずしてやらねばなりません。

人口歯は両脇の前歯と接着し、さらに外側の太目のアーチワイヤーにしっかり固定します。
下顎の隙間は、接着性ブリッジの部分もふくめ完全に閉じました。
歯の数を数えていただくと、一本少なくなっているのがわかるかと思いますが、全体としてはバランスよく咬めるように仕上げています。

治療開始2年10ヶ月、治療終了。
コチラの写真は治療後からさらに11ヶ月経ったものです。
奥歯もとてもしっかり咬みあっています。
ブリッジは前歯6本分の連結のブリッジと、右上5番目の前後歯の2箇所になっています。
左下のブリッジはまだ製作されていません。
奥歯の安定を待っている状態です。
基本的に矯正治療直後は咬み合せが不安定なので、落ち着くのを待ちながら、半年から一年ぐらいようすを見て製作していきます。
   



今回の症例は歯周病の骨の吸収度合いからいって、矯正治療ができるギリギリでしたが、患者さん本人のモチベーションとご協力によって無事治療を完了することができました。
治療中も少しずつ歯並びがキレイになっていくたびに感謝のお言葉をいただき、本当にこの仕事をやっていて良かったと実感させていただきました。今後も患者 さんと一体になって治療をがんばっていかせていただきたいと思います。


   
治療前42歳

 
治療後45歳

 

治療データ詳細

主訴:受け口   診断名:骨格性下顎前突  年齢:42y7m  

治療装置:マルチブラケット装置 抜歯部位:非抜歯  

治療期間:2年10か月 治療費:矯正管理料として50万円(処置料別途)

矯正歯科治療に伴う一般的なリスクや副作用について:

① 最初は矯正装置による不快感、痛み等があります。数日間~12 週間で慣れることが多いです。 ② 歯の動き方には個人差があります。そのため、予想された治療期間が延長する可能性があります。 ③ 装置の使用状況、顎間ゴムの使用状況、定期的な通院等、矯正治療には患者さんの協力が非常に重 要であり、それらが治療結果や治療期間に影響します。 ④ 治療中は、装置が付いているため歯が磨きにくくなります。むし歯や歯周病のリスクが高まります ので、丁寧に磨いたり、定期的なメンテナンスを受けたりすることが重要です。また、歯が動くと 隠れていたむし歯が見えるようになることもあります。 ⑤ 歯を動かすことにより歯根が吸収して短くなることがあります。また、歯ぐきがやせて下がること があります。 ⑥ ごくまれに歯が骨と癒着していて歯が動かないことがあります。 ⑦ ごくまれに歯を動かすことで神経が障害を受けて壊死することがあります。 ⑧ 治療途中に金属等のアレルギー症状が出ることがあります。 ⑨ 治療中に「顎関節で音が鳴る、あごが痛い、口が開けにくい」などの顎関節症状が出ることがあり ます。 ⑩ 様々な問題により、当初予定した治療計画を変更する可能性があります。 ⑪ 歯の形を修正したり、咬み合わせの微調整を行ったりする可能性があります。 ⑫ 矯正装置を誤飲する可能性があります。 ⑬ 装置を外す時に、エナメル質に微小な亀裂が入る可能性や、かぶせ物(補綴物)の一部が破損する 可能性があります。 ⑭ 装置が外れた後、保定装置を指示通り使用しないと後戻りが生じる可能性が高くなります。 ⑮ 装置が外れた後、現在の咬み合わせに合った状態のかぶせ物(補綴物)やむし歯の治療(修復物) などをやりなおす可能性があります。 ⑯ あごの成長発育によりかみ合わせや歯並びが変化する可能性があります。 ⑰ 治療後に親知らずが生えて、凸凹が生じる可能性があります。加齢や歯周病等により歯を支えてい る骨がやせるとかみ合わせや歯並びが変化することがあります。その場合、再治療等が必要になる ことがあります。 ⑱ 矯正歯科治療は、一度始めると元の状態に戻すことは難しくなります。