JR倉敷駅より徒歩6分岡山県倉敷市阿知3丁目13ー1 あちてらす倉敷南館1階

TEL 086-422-4410

お問い合わせ

TEL CONTACT

2017年 3月 新機材!



今月はコチラの機材のお話。さて問題です。この機材はなんでしょう?
と、急に言われても一般のかたにはなかなか難しいと思いますが、公衆浴場などによくいかれる方は似たような種類のものを目にしたことがあるのではないでしょうか。
ヒントは真ん中のスリットからもれている青い光。
そう、医療で使われる青い光といえば紫外線。「紫外線殺菌」という言葉をご存知でしょうか? 昨今、家電にも多く応用され、衛生面に敏感な方々の関心を集めています。

ということで、コチラ、今回当院に新しくやってきたのは紫外線格納庫です。公衆浴場などでヘアブラシが格納されていたり、診療所でスリッパが格納されていたりするアレです。もともと当院では以前から4台所有しており、基本的に他の機材で「滅菌」されたものの衛生状態をキープして保管するために使用しています。そのうち一番小さいサイズのものを今回新しく大きいサイズのものに買い換えました。


左の2つが以前からあるもの。とりあえず既存の壁金具に取り付けているので、高さがあってないのが残念な感じですが、近日中に交換予定・・・。


以前の小さいのはこんな感じでした。消毒システム


さて、ここで「紫外線殺菌」と「滅菌」など耳慣れない言葉が出てきましたので少し説明していこうと思います。

まず、上述したように、近年、衛生への関心が高まるにつれ、「滅菌」「殺菌」「除菌」「抗菌」と菌にまつわる言葉は近年色々飛び交っていますが、これらの言葉の意味と使い分け、ご存知でしょうか?
わかりやすくざっくり言うと、菌に対する効果の差にちがいがあり、効力順に並べると、以下のようになります。

「滅菌」>「殺菌」>「除菌」>「抗菌」

一番、上位の「滅菌」は「すべての菌およびウィルスを完全に殺滅する」ことであり、一番効力の弱い「抗菌」は「菌の繁殖を抑える」という意味で菌自体は死んでいない状態ということになります。

以下
  • 滅菌:すべての菌(微生物やウイルスなど)を、死滅させ除去することで、日本薬局方では微生物の生存する確率が 100万分の1以下になることをもって、滅菌と定義されている
  • 殺菌:菌を殺すこと。すべての菌を殺すわけではなく、各殺菌法により殺せる菌の種類は限られている
  • 除菌:物体や液体といった対象物や、限られた空間に含まれる微生物の数を減らすこと。必ずしも菌を殺すわけではなく、その程度の範囲もあいまい。学術的な専門用語としてはあまり使われていない。
  • 抗菌:菌を殺したり減少させるのではなく、繁殖を阻止するわけですが、これも対象やその程度を含まない概念
ちなみに消毒とは「物体や生体に、付着または含まれている病原性微生物を、死滅または除去させ、害のない程度まで減らしたり、あるいは感染力を失わせるなどして、毒性を無力化させること」となっており、病原性微生物の感染力を減ずることが目的なので、体に良い菌も悪い菌も区別なく殺滅または減少させる意味合いをもつ上記の言葉群とは、また違うニュアンスの言葉です。

さて、ここで、今回の紫外線殺菌ですが、当然上記の殺菌に相当するもので、もちろんすべての菌を殺すことは出来ません。 紫外線殺菌とは写真のような専用の青い紫外線を出す紫外線殺菌灯の光を一定時間以上あてることで、菌類を殺すことができます。(青い光ならなんでも良いわけではありません。)
紫外線格納庫は各扉の内側にこの紫外線殺菌灯が内臓されており、内部に納めた器具類に光があたるようにできています。 ここでポイントは①光があたった部分しか殺菌できない。②殺菌には一定以上(ブドウ球菌で1分、結核菌で2分等)の時間が必要。③すべての種類の菌に有効ではない。といったことです。

ですので、当院でも、あらかじめ他の機材で「滅菌」してから紫外線格納庫に収納しています。 既に滅菌されているのに、なぜ殺菌するかといえば、空気中には常に何らかの菌は浮遊しており、どうしても機材を出し入れするときには庫内に侵入する可能性があります。扉をあけたときに侵入し器具の表面に付着した菌は、扉を閉めると同時に照射される紫外線殺菌灯によって殺菌され衛生状態をキープできるというわけです。


庫内の様子
診療用の器具がいっぱい掛けてあります。
扉の内側に取り付けられた紫外線殺菌灯の光が庫内の奥に反射して青くみえています。

開けるとこんな感じです。


最新機材!とは言っても、紫外線格納庫自体は基本的に非常にシンプルな構造で既存のものと機能的にはほぼ変わりありません。しいて言えば、外装のデザインは若干イマドキな感じにおしゃれになっていますね。また、扉のガラス部分が小さいスリットに変わっているようですが、紫外線殺菌灯の光は目にあまりよくないので見える部分を小さくした親切設計でしょう。(紫外線殺菌灯が切れてないか確認のために、光が見える部分はどうしても必要)

当院では、既存の4台の紫外線格納庫はもうかれこれ20年以上愛用していますが(もちろん紫外線殺菌灯自体は定期的に交換しています)、故障もなく機能的にも新しいものとまったく遜色ない優秀な機材です。機材に限った話ではありませんが、何十年も形を変えることなく愛用され続けるロングセラー商品というのは機能的にもう進化する必要がないほどに完成され、安全性も確率されているということです。 昨今、使い捨ての診察器具も色々出てきており当院でも部分的には使用しているのですが、使い捨て器具の中には滅菌されていないものもあったり、エコロジーの観点からも、まだまだ当面はこの昔ながらの滅菌&紫外線格納庫の二本柱が器具の衛生管理のメインです。