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 こちらの今月のトピックスのコーナーでは、毎月新しい治療例や歯に関するちょっと気になる話題などを紹介していきます。これから矯正治療を始めたい方も、現在治療中の方も、このホームページを通してよりいっそうのご理解を深めていただければと思いますので、ご意見ご要望などおよせください。どうぞよろしくお願いいたします。

注: 当院のホームページにおける症例写真はすべて実際に当院で治療した症例であり、患者の皆様の協力の下に承諾を得て掲載せていただいております。

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2016年 8月 永久歯先天性欠如は10人に1人!!

2016年 8月 永久歯先天性欠如は10人に1人!!

いよいよ夏本番!皆さんいかがお過ごしですか?さて、今月は永久歯の先天性欠如のお話。
皆さん、小学生のころに、歯のパノラマレントゲン(全部の歯が一並びに写る)をとったことがありますか?乳歯や永久歯の数は全部そろっていましたか?

                               


 近年、お子さんの成長過程で永久歯が生えて来ないというケースがとても増えています。
今までもこのトピックスのコーナーでは、永久歯が生えて来ない症例については何度か取り上げてまいりましたね。

まず永久歯が生えて来ないのには、二通りの理由があります。
  1. 永久歯はあるが、埋まったまま出て来られない位置にある
  2. もともと永久歯の種(歯胚)がない

 「1.永久歯はあるが埋まったまま出て来られない位置にある」は埋まった状態によって色々なケースがありますが、当トピックスのコーナーでは顕著な例として「移転歯」という症例をいくつか取り上げさせていただいておりますのでご参照ください。

   • 2010年  11月 歯の生える場所が入れ替わる!? -移転歯-
   • 2010年  12月 移転歯2 治療例

では「2.もともと永久歯の種(歯胚)がない」という症例ですが、こういった状態を「先天性欠如」といいます。
この先天性欠如は特定の病気や障害などの影響が原因の場合もありますが、ほとんどのケースが原因不明です。そしてこの先天性欠如は増加傾向にあり、2007年の日本小児歯科学界の大規模調査では、日本人約1万5千人中、10.01%のお子さんに先天性欠如が発現しているという報告でした。
つまり現代っ子の10人に一人は永久歯の数が足らないということです。


小学生になったら、パノラマレントゲンを撮りましょう!

 10人に1人。これは結構な発現頻度です。1クラスに何人かはいるということですので、他人事ではありません。皆さん、ご自分の、またはお子さんの歯の数をちゃんと把握していますか?
現代人の永久歯の数は上下左右各7本ずつで合計28本です(親知らずを含まない)。
ただ、歯の生え変わりの時期というのは、かならずしも左右対称に生え変わってくれるわけではなく、一般の方には乳歯と永久歯の区別もつきにくいので、正確に把握することが難しいと思います。
そこで有効なのが、冒頭のパノラマレントゲンです。小学生になるころに、将来生えてくる予定の永久歯はすでに顎の骨の中にスタンバイしています。
実はこの上記のレントゲンの患者さんは先天性欠如があります。どの永久歯が欠如しているかわかりますか?ヒントとして、一般に先天性欠如は比較的発現しやすい箇所があります。中心から二番目の側切歯と五番目の第二小臼歯です。(もちろんそれ以外の歯でもおこる可能性はあります。)また欠如歯は一箇所とは限りません。
先述の統計では先天性欠如のある方のうち、1歯欠如51.7%、  2歯29.0%、  3歯5.6%、  4歯5.0%、  5歯以上欠如8.6%となっています。

ということで正解ですが、この患者さんの先天性欠如は右下の第一小臼歯(中心から4番目)でした。下顎の左右の歯の数を比べてみてください。永久歯は完全に生えているものと、乳歯の下にスタンバイしているものと混ざってはいますが、右のほうが1本少ないのがわかりますでしょうか?

 移転歯や先天性欠如歯の治療には早期発見がとても大切です。
しかし、表面から見るだけの学校歯科検診では、そういった移転歯や先天性欠如歯の発見は困難です。中高生になっても生えてきていない歯があればさすがに学校検診でもチェックされますが、それでは手遅れの場合があります。
たとえば、先天性欠如に気づかず、下顎の奥の乳歯が抜けたままいつか生えてくるだろうと放置した場合、後ろの永久歯が倒れこんできてしまったり、上の歯が伸びすぎてしまって咬み合わせがおかしくなったりします。多くの場合後に生えてくる永久歯がない部分の乳歯は大切に残しておく必要があります。
うっかり無計画に抜いてしまったり、虫歯にしたりしないために、早い段階で先天性欠如の有無は把握しておくことが大切なのです。


先天性欠如がみつかったらどうすべきか?

 では、先天性欠如が早期発見できたらどうしたらよいのでしょう?
まずはご両親に言いたいのは、「どうしてなってしまったんだろう?」「妊娠期になにかいけなかったんだろうか?」などとマイナス思考にならないでほしいということです。先ほど述べましたように先天性欠如は10人に1人はあらわれます。
たとえば髪の天然パーマと同じように、ひとつの個性としてとらえてよいと思います。天然パーマの髪も癖の強さによっては苦労される方もおられますが、逆に上手くスタイリングして素敵なヘアスタイルにされている方から様々です。
歯の数においても、近年、顎の骨自体が小さくて歯が並び切らずに凸凹になっている方がたくさん歯列矯正に来られます。そういった場合きれいに並べるために歯を抜かなければなりません。もともと顎の小さい方の場合、先天性欠如歯があることで、歯並びの凸凹が少なくなっている場合もあります。
ただ、皆が皆そう上手く納まるわけではありませんし、先述のように咬み合わせに影響が出る場合もあります。早い段階で先天性欠如を把握して、きちんと将来を予測して計画性をもって対処していきましょう。


先天性欠如の対処法

 先天性欠如歯の本数にもよりますが、大別すると二つの方向に分かれます。
   

  1. 乳歯が抜けるまで出来る限り長持ちさせて、抜けたら人工の歯を入れる。
   (入れ歯・ブリッジ・インプラント)
  2. 先天性欠如以外の歯で歯並びを作る。
   
1の場合まず乳歯が健康な状態であるということが大前提です。
乳歯の歯根は自然に吸収されて徐々に短くなっていく傾向がありますが、よい状態の乳歯であれば30代40代まで抜けずに残る場合があります。先天性欠如部分の乳歯は乳歯だからといって虫歯の治療をおろそかにしたりせず大切に長持ちさせてあげてください。

先天性欠如がわかった時にはすでにボロボロだったり、大事にしていたけれど歯根がなくなって抜けてしまった場合には人工の歯を入れるか、2.の残された先天性欠如以外の歯で歯並びを作るかのどちらかです。人工の歯というのは、入れ歯・ブリッジ・インプラントのどれかです。(差し歯は歯の根っこが残っている状態でないとできません) 

                


ただし、ブリッジもインプラントもある程度、大人の咬み合わせになって顎の骨がしっかりしてこないとできません。それまでは、できるかぎり乳歯を温存するか、周囲の歯が倒れてこないように、入れ歯や保隙装置(隙間を維持する装置)などを入れる必要があります。

では、2の「先天性欠如以外の歯で歯並びを作る。」ですが、これは上記のように顎の小さい方に向いている治療法で、永久歯がない部分の隙間は前後の歯を動かして閉じます。上下左右のバランスをとるために追加で抜歯する必要がある場合もありますが、たとえば凸凹の歯並びの方で矯正治療のために第一小臼歯を上下左右一本ずつ計4本抜歯が必要な症例ですと、すでに1本先天性欠如があれば、抜歯は3本ですみます。

                                                                      
  <小臼歯左右1本ずつ欠如している歯並び>    <全部の永久歯がそろっている歯並び>      

ただ先天性欠如の部位や本数によってはバランスをとるのが難しくなる場合もありますので、注意が必要です。矯正治療とブリッジやインプラントを併用する必要がある場合もあり、出来れば比較的早い段階から長期的な計画をもって治療することが望ましいといえます(参考症例:2011年   1月 移転歯+先天性欠如+矮小歯・・・その治療例)
また先天性欠如の本数が極めて多い場合、平成28年度現在、6本以上の先天性欠如がある場合には「6歯以上の先天性部分(性)無歯症」という症名となり、保険で矯正治療を受けることが出来ます。

 最後にもうひとつ自家移植という方法もあります。
複数の歯が欠如している場合で、上下または左右のバランスが難しい場合、たとえば下顎の歯は全部そろっているのに上顎の歯は4本も欠如しているといった場合に、下の歯を抜いて上顎に移植するなどです。
技術的に難しく、抜いた部分や移植した歯と周りの歯の形のバランスをどうするか?などの問題もありますが、もともと自分の歯なので安定しやすいといったメリットもあります。

 さて、先天性欠如歯について、一通り述べてまいりましたが、要は先天性欠如歯についてもっと知っていてほしいということです。10人に1人という高頻度のわりにいまひとつ認知度が低いのが現状です。現代では対処法いろいろありますので、過剰に不安になる必要はありませんし、何も知らずに放置するのも考え物です。正しい知識できちんと対応していきましょう。まずは小学生になったらパノラマレントゲンで確認を!!

2016-08-01 16:48:00

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