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 こちらの今月のトピックスのコーナーでは、毎月新しい治療例や歯に関するちょっと気になる話題などを紹介していきます。これから矯正治療を始めたい方も、現在治療中の方も、このホームページを通してよりいっそうのご理解を深めていただければと思いますので、ご意見ご要望などおよせください。どうぞよろしくお願いいたします。

注: 当院のホームページにおける症例写真はすべて実際に当院で治療した症例であり、患者の皆様の協力の下に承諾を得て掲載せていただいております。

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【知っておきたい歯の話】

【お知らせ】 【知っておきたい歯の話】 【症例紹介】
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2019年 8月 下顎前突外科症例 -手術を併用した矯正治療-

こんにちは、暑さも厳しくなり、もうすぐ夏休みですね。
さて、皆さん、「夏休み」といえば?海?花火?それとも夏祭り?しかし、矯正歯科的に「夏休み」といえば「オペ」です。 ???・・・。もちろん一般の方には「?」だと思います。「オペ」というのは矯正治療の一環でおこなう外科手術のことです。
歯並びを治す矯正治療において、歯を動かしただけでは改善しきれない症例の場合、顎の骨の位置ごと動かす手術を併用して治療を行うことがあります。当然入院が必要になりますので、お仕事や学校を休みやすいお盆・夏休みに行う方が多いのです。
そんなわけで、今月は外科手術を併用した矯正治療についてご紹介したいと思います。

 「手術」というと、ほとんどの方が尻込みされます。「手術で切るくらいなら治療したくない!」といわれる方も少なくありません。 しかし、イメージだけでシャットアウトしてしまうのは早計です。みなさん矯正の手術についてどのくらいご存知なのでしょう?

まず、こうした外科手術を併用して治療する症例は顎変形症とよばれます。下顎前突だけでなく上顎前突や開咬、顎骨左右非対称など上下の顎そのもののアンバランスに原因がある不正咬合をいいます。矯正治療だけでは機能的・審美的な改善が困難な症例です。矯正歯科治療と外科手術を組み合わせて治療しますので、こういった治療を外科的矯正と呼びます。治療は、手術の前に歯並びを整える「術前矯正」、「手術(当院の場合は岡山大学病院口腔外科にて施術)」、咬み合わせの最終仕上げをおこなう「術後矯正」の三段階でおこないます。

当院では初診時の段階でも、手術の可能性のある方にはある程度手術についてのメリットやデメリットのお話をさせていただきます。手術をしないと治療できない方から、手術を併用する治療としないで治療する方法どちらでも可能な方もおられますが、手術についてお話させていただくと、どちらでも可能な方の場合でも、手術併用を選ばれる方が少なくありません。特に下顎前突の症例には非常に効果的な場合があるのです。
ではどのようなメリットがあるのでしょうか?もちろんデメリットもありますので、合わせてあげてみましょう。

メリット
・治療費が保険適応になる(入院費と矯正料金合わせても、通常の矯正料金の5~6割程度)
 (H16以降。所定の検査機器を備えた診療所で治療を行った場合。詳しくは保険治療と自費治療のページをご覧ください。)
・顔の輪郭や口元の改善が可能(手術はお口の内側から切開するのでお顔に傷が残ることはない)
・治療期間がやや早くなる場合がある。

       <治療前> <治療後>

デメリット
・2~3週間程度の入院が必要(骨が少し固まるまで口が開けられないのでチューブでの食事になるため)
・手術は全身麻酔下で行うため、麻酔に付随するリスクはある。
・術後しばらくはお口の周りに違和感があったり、開口訓練の必要がある。

さて、こういったメリット・デメリットを踏まえたうえで、どのように治療が進んでいくのか、手術の術式など治療の流れに沿って具体的にお話していきたいと思います。


1.インフォームド・コンセント
 まず、当院での検査を行い、あらゆる面から分析し治療プランを立てます。
この時点で症例によって手術をしないと治療できない方から、手術を併用する治療としないで治療する方法どちらでも可能な方もおられますので、場合によっては複数のプランを立て、それぞれの治療プランについて説明します。
患者さんや保護者の方と相談の上で、外科手術での治療になった場合、更に実際に手術を行う岡山大学病院口腔外科を受診していただき、手術の術式や日程、費用などの説明を受けます。本人と保護者の方に充分納得していただいたら治療開始です。

2.術前矯正
 これはもともとの歯並びがでこぼこだと手術で顎の位置を変えてもうまく咬み合わせることができず、術後の顎の位置が固定できないことや、顎の位置の移動量自体が決めにくかったりといった理由から、手術の前に術後の咬み合わせを想定しながらマルチブラケットシステムで歯並びを整えていきます。

   

3.手術の準備
 さて、実際に手術を行うためにいくつかの準備が必要です。下顎前突などで、下顎骨を切断する症例では、下顎の親知らずが骨を切る際に障害になる位置にある場合、あらかじめ抜歯が必要です。
 また、上顎の骨も切るような場合では出血が予想されるので、ウィルス等の他からの感染を防ぐため、自己輸血の準備を行います。これはあらかじめ自分の血液を何度かにわけて採取・保存しておき使用します。
これらの準備は期間がかかるため、術前矯正の期間に済ませておきます。また、あくまで各症例において必要な場合のみですので行わない場合もあります。

 では、術前矯正もほぼ完了し、手術の時が近づいてきたら、大学病院にてもう一度最終的な手術の詳細の説明を受け、実際の入院日や手術用の全身検査(血液検査や心電図等)の日取りを決めていただきます。
 当院の方でも、手術一ヶ月前に写真や歯型、顎運動などの検査を行い、手術後の下顎固定用のバイトプレートを製作します。これは手術で分割された骨を良い咬み合わせの位置で癒着させるために、顎の位置がずれないように上下の歯列の間に咬ませる薄いプラスチック製のプレートで、当院で製作したものを、手術時に大学病院でセットします。バイトプレートを咬ませた状態で、上下の歯に着いているマルチブラケットシステムのフックにゴムをかけて固定するわけです。(下図参照)このゴムをかける部分は通常のマルチブラケットシステムに装着するのですが、少しでっぱった形になり違和感があるので、できるだけ装着期間が短くなるように手術の直前(一週間程度前)に当院で装着します。

    

4.入院&手術
 いよいよ、手術です。患者さんと病院側の都合に合わせて手術日の3~1日前までに入院します。手術は全身麻酔で行われますので、術中は意識はありません。まずは骨に到達するために切開します。口の中の粘膜から切開していくので、顔の表面に傷が残る心配はありません。骨の切断には下顎前突の場合でもいろいろな方法がありますが、下図は現在、岡山大学でもっとも多く行われている方法です。骨をずらして重ねた部分は、あえて金属プレートなどによる固定は行いません。顎関節の部分が筋肉や周りの組織の自然な力で、安定する位置に収まるのを促すためです。また、シンプルな切断法なので、比較的手術時間が短くてすみますし(手術時間が短いほど、感染などの患者さんのリスクが軽減されます)、後の金属プレートの摘出手術も必要ありません。

術後1週間程度固定を行い、この間は口は開きませんので食事は点滴、または奥歯の後ろにチューブを通しての流動食になります。 その後バイトプレートをはずし、口を開ける練習を始めていきます。2週間程度で顔の腫れも引ききちんと咬めるようになります。トータル約三週間程度で退院です。

5.術後矯正
 退院後も開口訓練を続け、ある程度口が開くようになったら、当院へ来院していただきます。少し顎周りに痺れた感じが残る場合もありますが、次第に収まります。様子を見ながらマルチブラケットの調整を続けて術後矯正を行い、安定した咬み合わせになったら治療終了です。

   <治療前>    <治療後>  

今回紹介させていただいた症例は、下顎前突でしたが、外科手術は技術の進歩とともに様々なバリエーションがひろがりつつあります。
特に顎の成長が止まった成人の場合、通常の矯正治療のみでは、機能的審美的に満足のいく結果を出すのには限界があり、こうした新しい治療法が有効です。確かに入院や手術費といった患者さんの負担は少なくはないですが、手術のあと長年のコンプレックスから開放された喜びはそれまでの大変さを上回るようです。
もうずいぶん以前の患者さんですが、内気でこちらから話しかけても最低限の返事しか返ってこないような少年でしたが、手術の後初めて来院した際、それまで見たことのないような笑顔で話しかけてきてくれました。口元が変わっているせいもありましたが、何よりその雰囲気の違いに、一瞬 誰かわからず、きょとんとしてしまったという思い出があります。その後、治療も終了し、数年後、定期健診に訪れた彼は、なんと車の営業マンになっていました。かつての少年時代からは想像できない滑らかで朗らかな営業トークに、しみじみとこの仕事をやっていて良かったなあと思いました。まだまだ、外科手術や矯正治療自体に否定的な意見もありますが、歯並びや口元の外見が個人の性格に影響を及ぼすことは否定できない事実だと思います。もちろん、良い咬合わせが体の健康に良い影響をもたらしてくれることは言うまでもありませんね。

さて、外科矯正について少しわかってきたところで、それでも、「やっぱり手術は怖い~」と思われる方が多いのも事実です。来月は実際の症例の治療経過を見ながら説明していきましょう。

2019-08-01 10:59:00

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2019年 4月 取り外し装置の長所・短所と使い方のコツ

ここ2ヶ月にわたって取外し式装置EOAについてお話してきましたが、矯正治療で使う取り外し装置には様々な種類があります。前回のお話しの中で出てきた「拡大床」も取り外しではありますが、こちらは「床」タイプという種類の一種で、「床」タイプは入れ歯のように平たい形で上顎(または下顎)の歯列にはめこんで使用する装置です。

<拡大床>                               <EOA>
  


対してEOAは「機能的矯正装置」という装置の仲間で、上下一体型で上下の顎で咬み込んで使用するタイプになります。咬み込むタイプではその他にも昨今では既製品の軟らかい樹脂でできた、簡易的なマウスピース型の装置もありますが、今回はEOAとその仲間たちの機能的矯正装置の種類や特徴、上手に使うためのコツとポイントなどをお話ししていきたいと思います。

機能的矯正装置の特徴 前回のEOAの仕組みでも触れましたが、この機能的矯正装置は、上下一体型になっており、顎の位置の不調和を咬む力など、口の周りや顎顔面の筋肉の力を利用して矯正治療をおこなう装置です。

          



機能的矯正装置はEOAのほかにもいろいろな種類があり、治療の目的によって使い分けます。実際にどんな種類があるのかみていきましょう。




機能的矯正装置の種類

1.FKO(別名アクチバートル)


機能的矯正装置の中で、もっとも基本の形の装置です。名前はアルファベットでFKO(エフ・カー・オーと発音します)、またはアクチバートルと呼びます。主に上顎前突や開咬の症例に使用します。 上顎前突の場合、上図のEOA同様に顎の位置を前に誘導して成長を促したり、上前歯にあたる部分に付いているワイヤーで前歯を中に押し込んだりしながら治療を進めていきます。
特に前歯の咬み込みが深すぎて下前歯が上前歯で隠れてしまうような咬み合わせの症例はEOAでは治しにくい症例ですので、FKOや後述のバイオネーターが適しています。顎位を誘導しつつ、奥歯が伸びるのを促すために奥にあたる樹脂部分を削って調整していきます。また、逆に前歯が咬み合わない開咬の症例の場合は、一番の原因は舌を前に出す癖ですので、FKOを装着することで、癖が抑制され、歯が本来あるべき良い位置に動いてきます。

 
2.バイオネーター


FKOとEOAの中間くらいにあたる装置です。 EOAのように樹脂部分が左右に分かれていないので、顎の拡大はできませんが、上前歯の内側に弾線(歯を押すための細いワイヤー)がついていますので、上前歯の叢生(でこぼこした歯並び)を治すことができます。 上顎前突に多くみられる、真ん中の2本の歯だけ前に出て、両脇の歯がひっこんでいるタイプや、FKO同様に前歯の咬み合わせの深いタイプの症例に好適です。


3.ビムラー


こちらは、主に受け口の治療に使用します。 もっともワイヤー部分が多く、咬み込むとワイヤーの弾力が歯に伝わって、上前歯を外に、下前歯を内に入れる力が働きます。


さて、当院で主に使っている機能的矯正装置をEOAとあわせて4種類ご紹介いたしましたが、これらは、あくまで各装置の基本形ですので、それぞれ症例にあわせて様々なアレンジの設計があります。
当院での子供さんの治療では、約8割以上がこれらの機能的矯正装置で治療しています。一つ一つ患者さん本人の歯形に合わせて製作された機能的矯正装置は既製品のマウスピース装置に比べ装着感が良く、また効率的に歯を動かすことが出来ますので、たいていの症例がこれらの装置で治療できます。そして、矯正装置が取外しできるということは、見た目の問題だけでなく、様々なメリットがあります。 ただし、もちろん万能というわけではありませんので、デメリットもあります。以下に両方をまとめましたので、参考になさってください。


機能的矯正装置の長所&短所

長所
1.装置の見た目を気にしなくてよい
  (日中は外すので、学校などで、心無い他者にからかわれたりするリスクがない)
2.歯磨きなどの口腔清掃の妨げにならないので、虫歯の心配が少ない
3.壊したり、変形させたりしても外せるので、お口の中を傷つけない
  (固定式の場合、小さいお子さんなど、自分でいじって装置を変形させてしまい、
   お口の中を傷つけたりすることがある)
4.固定式にくらべ、成長にしたがってゆっくり歯を動かすので、治療後の安定がよい
5.顎の成長そのものをコントロールするので、顎のズレやゆがみを治療できる。
  歯を抜かずに治療できる場合も多くなる。
6.通院の頻度が少なくてよい(2ヶ月に1回。固定式の場合は1ヶ月に一回)

短所
1.患者さん本人が装置をきちんと毎日つけないかぎり、治療が進まない。
2.固定式にくらべると、歯の動きが遅い
3.マルチブラケット(固定式の装置)ほどは、自在に歯を動かすことはできない。
4.乳歯から永久歯への交換期でないと効果がでにくい(6~12歳前後)


ここで、ご注意いただきたいのが、デメリットの『1』と『4』です。 特に治療の時期に関しては、まだ正しい知識が広まっておらず、『矯正治療は永久歯が全部生えてからでないと出来ない』と思われている方が少なくないようです。
結果、機能的矯正装置で簡単に治ったであろう症例でも、時期が遅かったために全顎の固定式マルチブラケットを装着しないといけなくなってしまうということが、しばしば見られます。そうなると費用もたくさんかかりますし、顎の成長が足らなかったり、ゆがみがあったりした場合、成長が止まってからでは治療が難しく、治しきれなかたり、抜歯が必要になってしまうことがあります。

また、『1』に関しては、せっかくいいタイミングで治療を開始しても、本人が装置を使わなければなんの効果もあらわれません。以下にあげますが、使えるようになるためには色々な方法や工夫がありますので試してみましょう。 ただ、性格的な向き不向きもありますので、どうしても使えない場合は固定式に切り替えることのもひとつと思います。当院では同じ治療目的で装置の種類を切り替える場合には、費用の追加はいただきません。
では、以下に『治療の時期』と『装置の使用時間』、その他『装置をつけない&つけられないお子さんの原因と対策』、また装置の取り扱いなど、各々説明していきます。


機能的矯正装置を上手に使うためのコツとポイント

1、機能的矯正装置の治療を始める時期

8~10歳位の永久歯が下の前歯4本、上2本くらい生えた頃
この8~10歳というのはあくまで、目安です。 歯の生え具合には個人差がありますので、前後2年くらいは人によって違うと思っておいたほうがよいでしょう。早い子は6歳くらいでも前歯4本生えている場合もあります。永久歯かどうかの判断が出来ない場合は少し早目から定期的に観察するのがベターです。 時期を外してしまって、永久歯が全て生えそろってからでは取外しの装置での治療は難しくなります。

2、使用時間
毎日8~9時間程度。(理想は14時間くらい)
基本的に寝るときにつけて使用しますので、子供ならたいてい8~9時間は寝ているので十分です。
もちろん、使用時間が長いほど効果が出やすいので、理想として14時間としています。これは、睡眠時だけでなく、晩御飯の後すぐ歯磨きをして装着し、そのまま宿題やTV、入浴などして就寝し、翌朝まで使用すれば、14時間くらいになるかと思います。 また、持続して使わないと効果がでにくいので、あまり着けたり外したりを繰り返すのは、例え合計時間が8時間を越えていても望ましくありません。ただし、装置に慣れず長時間持続して使うのが難しいうちは、少ししずつでも使って慣らしていくのも大切です。


3、装置をつけない&つけられないお子さんの原因と対策
取外し式の装置は患者さん自身が使わなければ一切効果が出ません。また、何日か使っても、その後何日も使っていなければ、せっかくの装置の効果も元に戻ってしまいます。もし、お子さんが装置を使えないようなことがあれば、なぜ使えないのか理由をつきとめて、どうしたら使えるようになるのか工夫が必要です。
以下に装置をつけない&つけれないお子さんの原因と対策をまとめてみましたので、参考にしてみて下さい。

●痛くて使えない
まずは、どこがどんな風に痛いのか聞いてみましょう

歯が痛い
→装置の効果が現れて、歯が動き始めるとき歯がむずむずする感じがあります。
お子さんによっては、それを痛いと表現する場合もあります。基本的にはそのまま使用を続け2~3日すれば歯が動ききって収まります。 まったく我慢できないくらいであれば、装置の調整を弱めることはできますので、来院してください。

歯茎が痛い
→どこが痛いのか自分でお口の中の痛い部分触ってもらって、状態を確認しましょう。歯茎に傷が出来ていれば赤くなっているか、白くなっているはずです。)装置の効果で歯が動いたり、乳歯の抜け替わりがすすんだりと、お口の中は日々変化していますので、装置が合わなくなってくることがあります。少し様子を見て、治まらないようなら、お口の変化に合わせて、装置を調整することも必要ですので、来院ください。

●つけるのを忘れる
使用時間のチェック表をきちんとつけることと、それを保護者の方が確認しましょう。それでも忘れる場合、寝る直前にする行動と抱き合わせにすると忘れにくくなります。例えば、寝る前に歯磨きするなら、歯磨き用のコップに装置を入れておく、パジャマに着替えると同時につけれるよう、パジャマの上にケースごと置くなどです。(保護者の方は所定の位置に装置があるか、また使っている痕跡があるか、時々、チェックしてください。)

●なんとなく気持ち悪くて出してしまう。
寝ているうちに口から出てしまう 使い始めの慣れないうちには、よくあることですので、根気良く続けることが大事です。装置に慣れるために起きているときにも少しずつ使いましょう。テレビやTVゲームなど、何かほかの事に集中しているときに装着すれば、装置から気がそれるので、慣れやすくなります。 口呼吸の癖があると、寝ているうちに口から出しやすいので装置に空気の通り穴をあけたり、専用のお口閉じテープを使うのも効果的です。
(トピックスバックナンバー 『ネルネル』お口閉じテープのススメ  参照)

        


●においや汚れが気になる(お手入れ法)
装置は基本的に流水と歯ブラシでこすり洗いで十分ですが、歯ブラシのこすりかたが足りないと、汚れが残って歯石になって落ちなくなったり、ばい菌が繁殖して臭くなったりしてきます。 まずはしっかりこすり洗いすることと、装置をつける前に歯磨きをしっかりしましょう(装置の汚れは歯の汚れが移ったものです。歯がキレイに磨けていれば装置は汚れません。)
どうしても汚れがとれなくなったら、医院の超強力な洗浄剤で時間をかければ、ある程度はキレイにできますのでお早めにおっしゃってください。 装置が汚れたり湿ったままにしておくと雑菌が繁殖して臭いが気になってくる場合があります。こすり洗いの時に愛用の歯磨き粉を使ったり、矯正装置専用の除菌洗浄剤も販売しておりますので使ってみるのもよいでしょう。(機能的矯正装置の素材は入れ歯やソフトタイプの装置と違い、歯磨き粉で擦っても問題ありませんが、逆に市販の入れ歯洗浄剤は成分が合わない場合がありますので避けてください)  またケースがよごれて臭いが出る場合もありますので、ケースもまめに洗いましょう。 ケースの中にキッチンペーパーなどを敷きっぱなしにするのは不衛生なので、あまりおすすめできません。ケースに入れるときは、よく水気をきって拭き、乾いた状態にするか、洗浄液に浸すかのどちらかにしてください。
ただし、熱には弱いので食器乾燥機に入れるのは禁止です。洗うときもぬるま湯くらいまでにしてください。

   
   <奥歯の部分に汚れのこびりついた装置>      

4、その他の注意点
最後に、そのほかの注意点についても少し述べておきます。 こういった取外しの装置の来院スパンですが、必ず2ヶ月に一回は来院しましょう。
きちんと装置が使えていれば、ほぼ2ヶ月あれば、最初に調整した分の歯が動いて、装置がゆるくなっているはずです。そうなると歯の動き具合にあわせて新たな調整を入れてやらないと、歯は動きません。 また、知らないうちに装置を踏んだりして歪んでしまう場合もありますので、おかしいなと思ったら、来院してください。ゆがんだまま使ったり、自分で適当になおしたりはしないでください。ゆがんだ装置をそのまま使っていると、歯並びがゆがんでしまう可能性があります。 保護者の方が忙しかったり、最近ではお子さん自身が塾や習い事で時間がとりにくかったりと、油断するとついつい来院がのびのびになってしまいがちです。
装置はきちんと調整しないと、いくら長い時間使っても効果がでなくなります。毎日忘れず使うことと、きちんと来院して調整を受けること、この2つが効果をあげるためのポイントです

2019-04-01 17:03:00

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2019年 3月 乳歯のうちに取り外し装置で矯正 2 -EOAの仕組み-

先月に引き続きまして、取り外し式の上下一体型マウスピース装置『EOA』のお話です。
こちらも以前のバージョンのホームページからのまとめなおしシリーズになります。(サーバーの都合により以前のバージョンが近々閲覧できなくなりそうなので、この機会に新たな症例や情報の加筆を加えつつ随時まとめなおしていっております。)  

さて、先月はEOAで治療した症例をたくさん紹介させていただきましたが、今月は実際にEOAでどう治っていくのか見ていきたいと思います。
まずは先月のおさらい。こちらがEOAです。

    <装着時>

EOAは取り外し式の上下一体型マウスピース装置で、子どもさん自身で簡単に取り外しできます。 自宅で夜間の就寝時やテレビをみている時、本を読んだり宿題をしている時などに装着して使用する装置です。学校や外出時などに使用する必要はありません。もちろん使用時間が長い程効きは良いですが一日8時間くらい使えれば効果はでます。

こちらの症例をご覧ください。

<治療前>               <治療後>           

     


先月ご紹介した症例集のうち最後の症例です。(詳しくは「2019年 2月 乳歯のうちに取り外し装置で矯正!」をご覧ください)
治療前後では別人のようですね。
かみ合わせの面から歯列の並びをみてみましょう。

<治療前>                         <治療後>            

     

治療前では真ん中の歯は前突し、その横の二番目の歯は生える隙間が足らず、右は歯列からはみ出し、左は生えていません。
一方 EOA治療後では、永久歯はすべて無事萌出し、一列に並んでいます。また、正面からではわかりづらいですが、下顎も前方にしっかり誘導されたので、上顎前突も改善しています。

では、この治療の前後を重ね合わせてみましょう。




 治療前のグリーンの歯列に対し、ピンクのEOA治療後の歯列はアーチ幅が横に広くなっています。
前歯がまっすぐに並ぶためには、それだけのアーチサイズが必要なわけです。

では、EOAが実際にどのようにお口の中で作用していくのかみていきましょう。

まず、EOA本体ですが、赤い「レジン」と呼ばれる樹脂とワイヤーでできています。形が複雑でわかりにくいので、いろんな角度から見てみましょう。

  <上から>            <真横から>
     
  <正面から>           <お口に入れたところ>
       <装着時>

見慣れない方には、ワイヤーがごちゃごちゃしてわかりにくいので、部分的に図解していきます。
まず、歯列の幅を広げるのに重要なのは、赤い樹脂の部分と真ん中のU字形のワイヤーです。(上記の「上から」の写真をごらんください) で、これが、お口にセットすると、歯列に対し下図のようにはまります。(複雑なので、まずは前方のワイヤーは省略した図で説明します)

             

上下一体ですので、縦断面にするとこうなります。(「正面から」の写真参照)

      
この中央のU字形のワイヤーの部分を調整すると下図のようにひろがります。

     

ワイヤーは弾力がありますので、EOAを咬みこむと元の上図のようにちぢまって歯列に収まりますが、下の幅に広がろうとします。その力が樹脂部分を介して歯に伝わります。 基本的に歯は一定の方向に持続的に適切な定量の力が加わると、その方向移動する性質があります。 EOAを装着している間は歯列は常に内側から押される力が加わることになりますので、徐々に歯は外に広がるように移動していくのです。

ということで、こうなります。

      

ただし、これでは、ただ前歯のすきっ歯がひどくなっただけです。ここで重要なのが前歯の付近にある複雑なワイヤーたちです。 上の図では省略していましたが実際にはこんな感じになっています。

     

歯列の外側から力をかけるための「唇側線」と、内側からの「舌側線」の二種類が上下顎に各々ついています。 このワイヤーで内側に入っている歯は舌側線で、外に前突している歯は唇側線で押し並べていきます。 特に舌側線は上下左右に一本ずつ付いているので、歯にあわせて様々な形に曲げ変えることができ、力のかけ方次第で、歯の隙間をとじたり、ねじれを治したりといった治療も可能になります。

      

ただし、こういった歯の並びの移動は、移動先に歯が入るだけのスペースがあって初めてできることなので、必ず、前述の歯列のアーチ幅の拡大と平行して行います。取り外しの装置でありながら、拡大と並びの治療が同時にできるところが、一般的な拡大床(先月のトピックス「拡大床」参照)との大きな違いです。
さらに、もうひとつ拡大床と大きく違う点は、EOAは上顎前突や受け口など顎の前後または左右の位置のズレを治療できる点です。 そもそもEOAは機能的矯正装置という顎の位置のズレを治療する装置の仲間で、そのほかの仲間にはFKO・バイオネーター・ビムラーなどがあります。(詳しくは次回) 機能的矯正装置は咬む力など、口の周りや顎顔面の筋肉の力を利用して矯正治療をおこなう装置で、上下一体のマウスピースタイプの装置です。

       

機能的矯正装置は永久歯に生え変わる顎の成長期に非常に重要な装置で、この時期に顎のズレが改善できないと、下顎の成長が止まってしまたり、歪んだままになってしまいます。でこぼこの歯並びなどは大人になってから歯を抜いて治療するというのもひとつの方法ではありますが、健康な歯を抜きたくない場合や顎の上下または左右のズレが大きい場合にはこういった成長期の治療が有効です。永久歯列での治療では骨格的なアプローチが難しいからです(場合によっては骨を切る手術を併用する場合もあります。) 以下は下顎の小さいタイプの上顎前突ですが、成人になって来院されたので、抜歯治療を行った症例です。

      治療前

      治療後

乳歯期に治療していれば抜歯しなくてもすんだのか?といわれれば、必ずしも絶対と言いきることは難しいですが、あくまで可能性の問題ですので、可能性に賭けるかどうかですね。当院ではこういったEOAの症例では7~8割程度のお子さんで、先月の症例のように乳歯期のみの治療で治療を終えています。100%ではありません。どうしても装置を毎日使えない子や、こういった取り外し式装置で治療できる範囲を超えた症例もあるのです。そのあたりについては順次取り上げて行く予定です。
ということで、次回はこの機能的矯正装置の種類や使用上の注意点などについてお話していきます。

2019-03-01 16:00:00

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2018年 11月 日本矯正歯科学会と日本臨床矯正歯科医会&認定医について

さる10月30日~11月1日、横浜にて第77回日本矯正歯科学会 学術大会が開催されました。いわゆる学会です。
今年も院長が出席のため30日(火)は臨時の休診とさせていただき、患者の皆様にはご迷惑をおかけしまして 申し訳ありませんでした。
ところで、「また学会の休診!?二月にも休んでなかった?」と思われる方もおられるでしょうか。そう、二月に開催されたのは「日本臨床矯正歯科医会 大会」でこちらも毎年の恒例となっています。 日本矯正歯科学会と日本臨床矯正歯科医会・・・紛らわしいですね。

 そもそも「学会」とは、とある分野の研究や学問を行う者が、その研究成果の発表や意見交換を行う場であり、そういった会や論文誌などの発表場を提供する業務を担う機関のことをいいます。
この学問の分野により、様々な学会があります。なかには勝手に学会と名乗っているだけの怪しげなものもありますが、日本矯正歯科学会はもちろん日本学術会議から指定を受けた学術研究団体である公的学会であり、矯正歯科の学会の中で最も伝統がありメジャーな協会です。矯正歯科を専門とする歯科医師のほとんどが在籍しているといっていいでしょう。

 対して日本臨床矯正歯科医会とは、矯正歯科を専門に診療する開業医の団体です。「臨床」とは「患者に接して診察・治療を行うこと」であり、先述の日本矯正歯科学会に所属する「矯正歯科を専門とする歯科医師」の中には大学などで主に研究に従事されている歯科医もふくまれていますので、日本臨床矯正歯科医会の場合は実際に開業して患者さんの矯正治療にあたっている矯正歯科医の団体ということになります。
入会資格は、5年以上の矯正歯科臨床経験と、診療所の所在地区会員1名を含む3名以上の推薦によって理事会の承認を必要とし、現在、全国主要都市を中心とする13支部に、約460の矯正歯科医が在籍しています。

さて、各会の概要がお分かりいただけたところで、それぞれの業務内容についてふれていきましょう。
まず、各会いずれもメインの事業である、おのおのの研究成果の発表や意見交換を行う場である「大会」を毎年開催しています。当院院長も毎年出席している、いわゆる「学会」です。今年度の日程は以下のとおりで臨時の休診をさせていただき申し訳ありません。条件は以下の通りで

   日本矯正歯科学会
      第77回日本矯正歯科学会 学術大会   10月30日~11月1日

   日本臨床矯正歯科医会
     日本臨床矯正歯科医会 大会   平成31年2月20日・21日


こういった学会では各大学や研究機関の研究成果が講演や貼りだしで発表され、あたらしい治療法や機器、または未来の治療にむけた研究などを知ることができます。
また、今回の日本矯正歯科学会ではあわせて一般の方向けに市民公開講座や無料矯正歯科個別相談なども行われました。

      <市民公開講座のもよう>
         
        
     <学術展示>
    

    <学術講演>
    

    <矯正機器のメーカーによる商社展示>
    



 
ちなみに前回の日本臨床矯正歯科医会大会は院長を大会長に岡山で行われ、実際的な症例の展示やスタッフセミナー、矯正機器のメーカーによる新しい治療装置のプレゼン会など開かれ大変興味深いものでした。


さて、各学会、こういった大会の開催のほかにもさまざまな業務があります。
その中でも重要かつ、一般の方にも関係深い事業として、日本矯正歯科学会の認定医・専門医制度というものがあります。

これは矯正歯科医療の水準を維持し向上を図ることによって一般市民の皆さんに適切な医療を提供するために行われているもので、日本矯正歯科学会の定める条件をクリアした歯科医に対し、矯正治療に関して適切かつ充分な学識と経験を有するものとして「日本矯正歯科学会の認定医・専門医」の資格を授与します。
要はこの「日本矯正歯科学会の認定医・専門医」資格を有する歯科医ならば、「矯正治療に対しての技術と経験を日本矯正歯科学会が保証しますよ。」ということです。

 というのも、現在の日本の法律では、矯正歯科治療の知識や経験がなくとも、歯科医師の免許をもってさえいれば、『矯正歯科』と標榜することに問題がありません。通常の一般歯科の片手間にごく簡単な矯正治療のみを行う場合であっても、診療科目に「矯正」を標榜している医院は大変多いですし、違法ではありません。
だからこそ、もし皆さんが本格的な矯正治療を受けたいと希望された場合のひとつの指標となるのが「日本矯正歯科学会の認定医・専門医」制度なのです。
平成18年度現在、日本の歯科医師は103 972人います。その中で日本矯正歯科学会の認定医は3196人、約3%です。

ちなみに矯正歯科の認定医制度は、日本のその他の専門医制度に比べてもその基準が厳しく、高い技術と経験が要求されています。

   1、 5年以上日本矯正歯科学会の会員であること
   2、 2年以上大学の矯正歯科で研修医をした後、学会指導医の下で
      さらに3年以上矯正歯科に専門的に従事すること
   3、 学会誌にオリジナル論文を発表すること 学会の定める試験に合格すること

 が最低限必要になります。

矯正歯科治療というのは、歯科治療の中でも最も専門性の高い分野で、多くの矯正歯科医は矯正治療のみを専門に行います。ですが、矯正治療をメインで行っている歯科医院であっても、その中で「認定医」などの資格を有しているかどうかは別な話ですし、逆に一般歯科診療も行いつつ認定医資格を有する歯科医もいます。確実なのは日本矯正歯科学会の「認定医・専門医一覧」から検索するのが間違いないでしょう。
なぜなら、本年より厚生労働省によるホームページ・看板広告等への記載規定の変更があり、矯正歯科における各医院での認定医等の表記ができなくなりました。過熱する過度な広告宣伝競争への抑止ということでしょうか、今後治療例等の掲載も禁止される可能性があり、患者の皆様にはご不便かと思いますが、以下ご参照ください。

日本矯正歯科学会「認定医・専門医一覧」

2018-11-01 18:02:00

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2018年 10月 金属アレルギーと矯正治療

今月は金属アレルギーについてのお話です。

近年、様々なアレルギーを耳にしますが、中でも金属アレルギーは花粉アレルギーに次いでポピュラーなアレルギーではないでしょうか。 そして、この「金属」という素材は矯正治療をするうえで避けて通れないものです。矯正装置の多くは金属で出来ており、歯を動かすしくみ自体、金属の弾性を利用したものがほとんどだからです。

しかしながら金属アレルギーがあるとかならずしも矯正治療ができないというわけではありません。
とはいうものの、金属アレルギーがあると矯正治療を行ううえでいろいろ注意が必要になります。当院では金属を使用しない装置や、アレルギーを起こしにくい金属を利用した、金属アレルギー専用の対策を行っています。

まずは、金属アレルギーの基礎知識、さらに当院での対応と治療の流れ、矯正治療で使用する金属の種類 など順を追って説明していきたいと思います。




金属アレルギーの基礎知識

金属アレルギーとは、金属が皮膚や粘膜に接触することにより、引き起こされるアレルギー反応で、接触した部分の皮膚に炎症(かゆみ・発赤・腫れなど)が起ったり、歯科用金属による金属アレルギーの場合、掌蹠膿疱症(手掌・足底に無菌性の膿疱が反復して出現する皮膚病)や扁平苔癬(皮膚や口腔内にぶつぶつができる)があらわれる。
ここで注意したいのは、この掌蹠膿疱症でお口の中の金属が原因の場合でも反応がお口の中に出るばかりとはかぎらない点である。

また、そもそもアレルギーはタンパク質に対し起こるものなので、金属が直接にアレルギーを起こすわけではなく、金属から溶出した金属イオンが、人体が本来持つタンパク質と結合し、アレルゲンとなるタンパク質に変質させ、結果、アレルギー反応をひきおこす。 ゆえに、接触してすぐにではなく、実際のアレルギー反応が起こるまで時間がかかる場合がある。

金属アレルギーを起こしやすい金属としてはニッケル、コバルト、クロムがあるが、一方で金・銀はアレルギーを起こしにくい。最近、インプラントで多用されるチタンや宝飾品に用いられるタンタルやジルコニウムもアレルギーを起こしにくい。それはこれらの金属は化学的に安定な不動態を形成し、金属イオンが溶出しないからである。

アレルギーを起こしやすいニッケル、コバルト、クロムなどの金属は、単体で使用されるよりも合金になっていたりメッキされていることのほうが多いので注意が必要である。また、チョコレート(ニッケルを含む)等の様に、食べ物に含まれている場合もある。

いずれの金属でアレルギーが起こるかは個人差があり、上記のアレルギーを起こしにくい金属でもまれに反応が出る場合もある。
金属アレルギーがある場合は、皮膚科のパッチテストなどで自分が何の金属に反応するのか把握していたほうがよい。 先天的に金属アレルギーをもっていなくても、後天的にアレルギーが現れる場合もあるので要注意。


当院での対応と治療の流れ

<問診>
初診時の問診票に金属アレルギーについての項目があります。わかる範囲で結構ですので、該当金属や過去の症状などをお伝えください。 「アクセサリーなどでかぶれとことがある」などの経験についてお聞きしたり、過去の歯科治療で使われた金属などの状況を見させていただきます。「ピアスでかゆくなった」などの既往がある場合でも、奥歯に金属の詰め物がしてあったりして金属アレルギーがでていなければ、矯正装置の金属も問題ない場合があります。


<矯正装置の試用>
はっきりとした、歯科治療金属での金属アレルギー経験がない場合は、試しに一定期間部分的に矯正装置をつけてみます。 奥歯に矯正治療でもっとも多用するステンレス製のバンドという装置を装着します。前述のように反応がでるまで時間がかかる場合がありますので、その状態で3ヶ月程度様子をみます。 問題がないことが確認できれば、通常の方法で矯正治療を開始します。


<金属アレルギー対応の装置>
金属アレルギーがあることが確定した場合、使用する矯正材料をアレルギーがでにくい金属製のものにきりかえます。

 可撤装置→0.9mTMAワイヤー(チタン系合金)使用

     EOA

 MBS
   ブラケット →プラスチック製
   バンド →チタンチューブ直接ボンド
   アーチワイヤー→GUMメタル
   リガチャー  →プラスチックゴムモジュール

     

保定 
  フィックスドリテーナー →GUMメタル(チタン系合金)
  ワイヤーリテーナー →SHR・トラックA等の非金属リテーナー使用またはTMAワイヤーを使用
          OH型ワイヤーリテーナーOH型ワイヤーリテーナー


矯正治療で使用する金属

矯正治療で使用する金属の種類 現在、当院にある装置のうちメーカーからの添付仕様書および問い合わせによりわかる範囲ではありますが、 原材料の判明しているものを以下に列記しました。 パッチテスト用に必要であれば、ワイヤー切端等を郵送(着払い)にてお送りいたします。

臼歯部バンド装置 (ユニテック オームコ TOMY社)
  ステンレス鋼(炭素、鉄、クロム、ニッケル、マンガン)

メタルブラケット(TOMY社)
 鉄 クロム18% ニッケル8% 銅 ケイ素 マンガン(本体に1%以下 ベースに2%以下)  モリブデン 硫黄 炭素 リン ニオブ 金 銀 銅

チタンブラケット(オームコ社)
 チタン  

ニッケルチタンワイヤー(Ci社)
 ニッケル チタン クロム

サーモスワイヤー(Ci社)
 ニッケル チタン クロム

TMAワイヤー(MASEL社 ベータⅢ)
 チタン80% モリブデン10% ジルコニウム 錫

ステンレスワイヤー
 鉄 クロム ニッケル モリブデン

コバルトクロムワイヤー
 コバルト クロム ニッケル モリブデン

GUMメタルワイヤー(ロッキーマウンテン社)
 チタン ニオブ タンタル ジルコニウム

保定用Fixedワイヤー(オームコ社)
 ステンレス鋼(SUS304相当)

その他
ステンレスは基本的に鉄 クロム ニッケル 銅 微量のマンガンを含む。

2018-10-01 16:08:00

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2017年10月 親知らずの悲劇、、、後悔、先に立たず

皆さん親知らずはありますか?特に下あごの親知らずが、どうなっているか把握していますか?
まだ生えていないから大丈夫と思っている人、ちょっとだけ生えて途中でとまっている人、
なかには生え方が悪くて抜歯をすすめられたけど、なんとなくそのままにしている人、、、結構多いですよね。
今回はそんな人に起こった悲劇のお話です。

まず、こちらの写真をごらんください。



右下の奥歯の写真です。 一見歯並びもよく歯磨きもよくできていますが、一番奥の部分をズームしてみましょう。




黒い矢印は第一大臼歯、第二大臼歯ですが、その奥の黄色い矢印の部分、白い丸いものが見えています。
これが親知らずです。ほとんど生えていません。このくらいの状態だと生えていることに気づかない人も多いです。

が!!すでに悲劇はおこっています。ミラーを使って後ろからみてみましょう。



ミラーに親知らずと手前の第二大臼歯がうつっています。わかりますでしょうか?
レントゲンでみると、親知らずと第二大臼歯の位置関係はこんな感じになっています。




手前向きに倒れているのがわかりますか?ちなみにこのレントゲンは10年くらいまえに撮影したもので、歯の位置関係自体は今と変わっていません。 現在の状態をもう一度しっかり見てみましょう。



ミラーに写っているのは手前の第二大臼歯。その端っこに穴が!!!
完全な虫歯です!それもかなり大きな!探針という器具で探ると深さもかなりありました。
虫歯を見慣れない一般の方にはピンときにくいでしょうが、虫歯というのは入り口の穴に対して内部はありの巣のようにドーーーンと広がっていくものなので、入り口がこのくらいだと、これはかなり大きいです。

ちなみに、この親知らずの持ち主は当院の元スタッフ。本人の了承を得て3DCTをとってみました。






歯の内部の黒くなっている部分は虫歯で腐っている部分です。歯の神経の管の端っこにまでかかっています。 ここまできていると神経は抜かなくてはならないでしょう。その上で腐っている部分はすべて削り取り銀歯になるでしょう、、、。
親知らずが、ではありませんよ?親知らずの手前で、ちゃんときれいにまっすぐに生えていた第二大臼歯がこんな目にあってしまっているのです。完全なとばっちりです。

どういうことかというと、こうです。




先述のとおり、この歯の持ち主は元歯科衛生士ですので、歯磨きはしっかりできていました。それでも上図のように深い部分は物理的に磨くのは不可能なのです。
CTをみてもわかるように虫歯の穴の中心部はかなり深い部分です。歯ブラシの届かない深い部分から出来始めた虫歯の穴が徐々に広がっていって歯の上部に穴の端っこが見え始めて、やっと持ち主も気づいたようです。これでもさすが元歯科衛生士。比較的早く気づいたほうです。成人の虫歯はゆっくり進むので、痛みが出にくいのです。歯の内部が全部腐って、外側の薄いエナメル質層だけになるまで気づかず、ある日ちょっと硬い物をかんだ時にバキっとくだけてやっと気づく、、、しかし、すでに歯の内部は腐り切って治療も手遅れ。これが最悪のパターンでしょうか。

すべては親知らずのせいです!
もちろん親知らず本体も虫歯になっていますし、第二大臼歯の治療のためにも親知らずは抜歯です。 もともとこんな生え方で役にもたっていなかった親知らず自体は抜歯でもぜんぜん惜しくありませんが、虫歯になってしまった第二大臼歯はもう帰ってきません。第二大臼歯は左右に2セットずつしかない大臼歯のうちのひとつで、かみ合わせの中でも非常に重要な歯です。さらに位置的に一番奥にある歯なので、第二大臼歯を失うとブリッジはできません。大金をかけてインプラントをいれるか(40~50万円)入れ歯にするか、歯がないままで我慢するか(左右でバランスが変わるので咬み合わせに影響はでます)・・・。


               前後に歯がないとできません。


さて、今回、巨大虫歯ができてしまった、元スタッフ、それはそれはショックを受けていました。なにしろ、親知らずの生え方がまずいということは十分に把握していただけに、何度も「なんで抜いとかなかったかなあ・・・」と繰り返していました。 後悔先に立たずとはまさにこのことです。

確かに親知らずの抜歯は億劫です。腫れるかもしれない、痛そう、、、加えて忙しくて行く暇がない、今は痛くないから・・・、抜歯を先延ばしにする理由はいくらでもあります。しかし、第二大臼歯がだめになってからやっと親知らずを抜きに行きますか?結局抜歯になるのなら、とばっちりで犠牲になった第二大臼歯がもったいなくないですか?自分の行動はすべて自分に帰ってきます。今回の事例は非常によくわかる例だったと思います。

最後に。ありがたいことに このスタッフ、新卒のときからずっとのつきあいですので、年齢ごとのレントゲンがあります。年齢ごとの親知らずの行方をもう一度、皆さんご参考になさってみてください。
    
      22歳 親知らず、顎の骨の中ででき始め。まだ向きは上向きだが、手前の歯に引っかかりそう
    
      32歳 10年で徐々に倒れて見事に横向きに
     
    40歳  現在、巨大虫歯。このうえなく残念な結果に、、、。     

2017-10-01 11:42:00

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2017年 9月 保険でできる矯正治療について

今月は保険でできる矯正治療についてのお話です。
ここ最近、保険でできる矯正治療についての問い合わせが相次いであったのですが、どうも保険でできる矯正治療についてきちんとご理解いただけてないのだなあ・・・という印象を受けましたので、治療費のページと若干内容が重なるかとは思いますが、実際の例をとりながら、改めてお話しさせていただきます。

1.保険でできる矯正治療があるのか?
2.自分が該当するのか?意外と自分のことでもわかっていない、見逃されがちな例
3.保険診療の勘違い・・・聞きかじり、記憶違い、思い込み
4.保険で治療を受ける際に気をつけたいこと




1.保険でできる矯正治療があるのか?
あります。
そもそも保険による医療は、国によって定められた範囲の症例に適応され、美容整形や見た目のよい歯の被せなど、健康な日常生活を送るのに直接的に支障のないプラスアルファ的な治療には適応されにくい傾向があります。
基本的には矯正治療もこの範囲に相当し保険は適応されません。歯並びが多少出っ歯や凸凹でも物を噛むのには支障はないからということです。

 しかし、物を噛めないくらい歯並びが悪かったら?
普通の矯正治療だけでは治せないくらい顎のズレが大きい人、口蓋裂といって、生まれつき上顎の骨が割れていて歯もよく生えることが出来ない人、また直接歯や顎の疾患ではありませんが先天性の全身疾患が原因で歯や顎に影響をおよぼすような症例の場合、保険の適応になります。数年前からは永臼歯が6本以上先天的に足らない人も対象になりました。(以下参照)


    口蓋裂症例の口腔内
    


2.自分が保険適応症例に該当するのか?増え続ける適応疾患 意外と自分のことでもわかっていない、見逃されがちな例

さて、「物を噛めないくらい歯並びが悪かったら」といっても、本人の主観で「咬みにくいから保険の適応にしてください」というわけにはいきません。なにしろ日本の保険制度は増え続ける医療費で常に財源不足なのですから。 ですので、保険の適応には、「明確に疾患名の診断がつく」ということが必要です。この保険適応になる疾患はH29年現在で顎変形症(がくへんけいしょう)(手術による矯正歯科治療が必要な症例)と、厚生労働大臣が定める、歯やあごに異常が現れる先天疾患(50疾患) 、の51疾患があります。

ここで気をつけたいのは、これらの保険適応疾患に自分が該当しているのか、本人も家族も気づいていない場合があるということです。

まず、顎変形症について。
顎変形症とは、顎の骨の位置のズレや変形など、顎の不具合が根本的な原因となって、噛み合わせの問題などが生じる疾患です。顎口腔機能診断施設に指定されている医療機関で診断し、顎変形症であることが認定され、規定の外科手術を含んだ治療を行えば、健康保険の適用の対象となります。自分では、そこまで深刻な疾患とは自覚していなくても、認定される可能性があるので、まずは歯医者さんに相談してみましょう。
後述する保険適応の先天性の疾患は医師側が一定の医学的診断基準によって診断を下すのですが、顎変形症の場合は実際に治療する矯正歯科医が診断名をくだします。この場合ある程度患者さん側の主観も影響してきます。たとえば、受け口の患者さんが来院されたとして、その症例がどうやっても通常の矯正治療だけでは治療がむずかしい場合と、ぎりぎり手術なしでも治療できるかどうかのボーダーラインくらいの症例の場合があります。
後者の場合は患者さんが手術を併用したいかどうかで分かれることになります。
もちろん、検査をしたあとで、その症例によって、手術を併用した場合と矯正のみで治療した場合の、治療後の違いや治療中のメリットとデメリットなどをよく説明し、患者さん本人と相談の上で治療の方向を決定します。患者さん本人が顔貌の骨格的な改善を希望し、手術を併用して矯正治療することを承諾された場合に、診断名が「顎変形症」となり保険適応となります。  

  
     顎変形症の診断を受けた下顎前突症例の口元
         治療前
            


つづいて厚生労働大臣が定める、歯やあごに異常が現れる先天疾患について
この保険適応疾患はここ10年、2年に一度のペースで増えており、2007年にはわずか10疾患でしたが、現在では51疾患です。つまりお子さんが何らかの疾患の診断を受けたときには適応でなかった疾患も、いつのまにか保険適応になっている可能性があります。

先天性の疾患というと生まれつき見た目にもすぐわかるような奇形的な外見特質をイメージしやすいのですが、決してそうとばかりではないのです。疾患自体がある程度成長しないとわからない場合がありますし、歯やあごに異常があらわれるといっても、そのあらわれ方は個人差があり、人によっては比較的軽度の場合もあります。

 
    保険適応疾患の一つピエールロバン症候群の口腔内
                
      *ピエール・ロバン症候群

新生児において希に起こる先天性かつ複合的な疾患で、主な症状として小下顎症、舌根沈下、気道閉塞が揃って見られる。 その他の、付随的な症状としては軟口蓋裂、近視、緑内症、摂食障害、チアノーゼ、不眠症、心房(心室)中隔欠損症、心臓肥大、肺動脈高血圧症、動脈管開存症、脳障害、言語障害、運動機能障害などを伴うこともある。発生率は3000人に一人 とも3万人に一人と言われるが、ピエール・ロバンと診断されず、ただの小顎症と診断されるケースも多い。乳児期には下顎やオトガイが極端に後退していて、横から見ると鳥の様な顔つき(鳥貌様顔貌)呈するが、多くの場合発育と伴に下顎が上顎に追いつく様な発達(Catch-up growth)が見られ、顔貌も大きく改善することが報告されている。
 
当院の経験した例では、シルバー・ラッセル症候群のお子さんの治療をさせていただきましたが、外見的にもお口の中の状態も極端に異常があるといった雰囲気ではありませんでした。たしかに小柄なお子さんだなという印象はありましたが、そこまで異常に小さいという感じでもなく、歯並びも普通に凸凹しているくらいでしたので、かかりつけ医の紹介状とご本人・ご家族からの申し出がなければ気づかなかったかもしれません。

     *シルバー・ラッセル症候群(Silver-Russell Syndrome: SRS)
重度の子宮内発育遅延、出生後の重度の成長障害、三角の顔や広い額などのような頭蓋および顔面特徴、身体非対称と ほかの様々な小奇形で特徴づけられる、臨床的に多彩な症状を呈する疾患
 
また、2012年に適応疾患に追加された「6歯以上の先天性部分(性)無歯症」、これは永臼歯の数が通常より少ない症例です。 以前こちらのトピックスでも取り上げたのですが、永臼歯の数が少ない子自体は決して少なくありません。(2016年   8月 永久歯先天性欠如は10人に1人!! )1本だけ足らない子もから複数本足りない子まですべての割合ですが、このうち6本以上足らない場合「6歯以上の先天性部分(性)無歯症」という診断名になり、保険適応になります。 「無歯症」というとぜんぜん歯がないような印象をうけますが、永臼歯がない分、乳歯が残っている場合も多く、永臼歯の交換は遅い子だと15~16歳くらいまでかかる子もいますので、なかなか気づかれない場合もあります。学校検診でなんらかのチェックを受けたらきちんと歯科を受診しましょう。

以上が平成29年現在の適応疾患ですが、今後も適応疾患は増えていくと思われますので随時注意してみてください。
       現在の保険適応51疾患につきましては、こちらをご覧ください。
         平成28年度保険適用疾患の改定


3.保険診療の勘違い・・・聞きかじり、記憶違い、思い込み
さて、今回この保険について書くことになったきっかけですが、患者さんとのお話のなかで、「最近、保険で矯正してる子、多いですよね~」といわれたことです。
確かに保険適応疾患はふえていますが、そもそもその先天性疾患自体、出現頻度がそう高いものではないので、(口蓋裂で500人に1人くらい、ラッセルシルバー症候群になると日本全国で500~1000人くらい)「??」と思ったのですが、その後も別件ですが、お電話で初めての方から「保険で矯正をやっていますか?」という問い合わせがあり、「やっていますが、適応になるのは先天性疾患がある場合と手術を併用する場合です」とお伝えするとすぐに切れてしまいました。

・・・どうも、お二人とも普通の矯正も保険でできる歯科医院があると思われている様子です。

保険診療は国の法律でさだめられている以上、例外はありえません。
気になったので、インターネットで保険適応の矯正治療と、その認知度について調べてみたりしたのですが、どうやら、一般の虫歯などの保険診療を主におこなっている歯医者で矯正治療を受けている患者さんで、矯正治療も保険で受けていると勘違いしている方がいるようです。

保険診療を主にしている歯科では、基本的に保険証の提示を求められます。またそういった一般歯科が主の医院では矯正治療も既成のマウスピースなどを使った小額の簡単な矯正のみを行う場合があり、結果、「保険証をだしている」「治療費の額が低い」ということで、保険で矯正治療を受けていると、本人ですら勘違いしている場合があるようです。

インターネット上のサイトでも、きちんとした公のサイトでは保険についておおむね正しく書いてあるのですが、質問サイトでの質問やその回答にはあいまいなものや勘違いしたものもかなりあり、ひどいものになると、ベストアンサーが「自費診療はぼったくり医師のやることだ」といったものもある始末で、「ぼったくり」は極端な例ですが、善意の回答でも回答者自身が勘違いしていたり、個人の経験のみに基づいた思い込みの回答もあり、質問サイトのマイナスの一面を感じました。たしかに専門的なサイトを読むのはめんどうかも知れませんが、安易に都合のよい回答のみを鵜呑みにするのは気をつけましょう。


4.保険で治療を受ける際に気をつけたいこと
保険適応疾患に該当すればだれでもどこでも保険で治療できるかというと、そうではありません。以下に保険で矯正治療を受ける際に気をつけたいことをまとめましたので、参考になさってください。

1) 矯正治療する歯医者が国の指定機関であること
保険診療で歯列矯正を行うには国が指定した特別な機関である必要があります。
顎変形症 → 顎口腔機能(がくこうくうきのう)の施設
先天疾患の治療 → 障害者自立支援の指定医療機関
どの医院でもできるわけではなく、この二つは別々の資格ですので、事前に確認が必要です。歯列矯正専門医でも、この指定を受けていなければ保険で歯列矯正を行うことはできません。
 
2) 舌側矯正やマウスピース矯正は対象外
保険診療で歯列矯正を行う場合は、歯の内側に装置を付ける舌側矯正やマウスピース矯正では行うことができません。保険診療で認められている歯列矯正は難易度が高い治療が多く、また、保険では機能を優先するため審美的な治療を行うことができなくなっています。ただし、ブラケット自体は透明なものの使用がみとめられています。
 
3) 健康保険に加入していること
当たり前のことですが、健康保険に加入していなければ保険診療自体が使うことができません。多くの場合は3割負担の治療ですが、条件によって負担金が変わります。それにより費用も変わってきます。
 
4) 矯正治療でも保険適応なので、高額医療費の対象になるが、この場合、自分で申請する必要あり。
高額療養費とは、保険治療で払う医療費を一定額以上払わなくて済む制度です。手術時などひと月あたりに支払った額が大きい場合、申請すれば後日、一部治療費が返金されますし、あらかじめ手続きしておけば支払い時に限度額(年収約370~約770万円世帯の場合80,100円+(医療費-267,000円)×1%)までの支払いですみます。(入院時の諸経費等は別) 1ヶ月間(同じ月内)に同じ医療機関で健康保険で払った医療費が自己負担限度額を超えた場合に適応されますので、入院が月をまたぐと、一月あたりが限度額を超えない場合や、自己負担限度額は、年齢および所得状況等により設定が違うなど、色々細かい決まりがあり、注意が必要です。

2017-09-01 10:43:00

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2017年 8月 二次カリエス ―虫歯で歯を失うまで―

「二次カリエス」という言葉をご存知でしょうか?
まず「カリエス」とは歯科の用語で「虫歯」のことです。歯科検診で歯医者さんが「C」といっているのは「カリエス(caries)」の頭文字で虫歯の略語なのです。

カリエス」=「虫歯」。では「二次カリエス」とは?

読んで字のごとく、二次的に出来た虫歯、つまり「一度治療した虫歯のまわりに再びできた虫歯」のことです。
ここでポイントは、なぜ治療のすんだはずの歯がまた虫歯になるのか?
もうひとつ、一般によく虫歯で歯を抜かれたという話を耳にしますが、通常一回目の虫歯でいきなり抜歯になることはまずありません。 「虫歯で抜歯」の最大の要因こそが「二次カリエス」なのです。

「虫歯」→「二次カリエス」→「抜歯」という一連の流れの原因は?その流れにストップをかけるには?今月は二次カリエスの恐ろしさについてお話していこうと思います。 


   1 なぜ、治療した歯に虫歯ができるのか?
    2 「二次カリエス」で歯はダメになる
   3 なぜ、虫歯で抜歯するのか?
    4 「虫歯」→「二次カリエス」→「抜歯」の流れをストップするには?


1 なぜ、治療した歯に虫歯ができるのか?

「虫歯ができちゃったけど、ちゃんと歯医者で治療したから、この歯はもう安心!」と思っている人。残念ながら不正解です。
一度虫歯治療で歯を削って詰め物をしたり、被せを入れた歯は、無傷の一回も虫歯になっていない歯にくらべると、虫歯のできる確率はぐっと高くなります。
なぜなら、詰め物や被せには必ず元の歯との継ぎ目があります。この部分にはどうしても大なり小なり段差や微細な溝ができます。
この部分に歯垢がたまりやすいのです。特にセメントが取れたり外れかかっているような部分には深いところまで菌が入りこんでいきます。


     

 

そもそも、虫歯というのは歯の溝や歯と歯の隙間など歯垢がたまりやすい場所にできます。歯垢とはつまり虫歯菌の塊、菌はどんな狭い隙間でも繁殖することができます。反対にツルッとした平たい面にはくっつきにくいので、歯の先端や真ん中のあたりでは繁殖しにくい性質があります。つまり一度虫歯治療をした歯は無傷のツルツルの歯より虫歯菌が繁殖しやすく、虫歯になりやすいのです。


2 「二次カリエス」で歯はダメになる

虫歯菌も生き物である以上、繁殖してどんどん増えて行きたいので自分の住む場所を増やすために、歯を溶かしてくぼみを広げていきます。
この虫歯菌に溶かされた穴が虫歯なのですが、歯の表面エナメル質は硬く丈夫なので、穴が開くまで時間がかかります。対して歯の内部の象牙質は軟らかく虫歯菌に溶かされやすい性質です。
ここでもう一度上の図を見てみましょう。一度虫歯治療で詰め物をした部分はエナメル質がありません。継ぎ目から侵入した虫歯菌は直接象牙質に到達できてしまうのです。しかも、象牙質の部分も一回目の虫歯でかなりなくなっていますので、神経の入っている歯髄まですぐに到達してしまいます。


     


ここが二次カリエスの怖いところなのです。
剥き出しになった歯髄には虫歯菌以外にもさまざまな菌が入ってきます。こうした菌が歯髄に入ると歯の神経が壊死します。このとき痛みを発する場合もあれば、痛みがでない場合もあります。痛みがでない場合は二次カリエスの進行に気づかず、どんどん歯の中身が溶けてなくなっていきます。歯髄の中が菌でいっぱいになったら、その先の骨の内部まで菌は侵入していくのです。

     


特に被せや詰め物の内側で進行する二次カリエスは気づきにくく、最終的には歯が砕けるか神経の先の顎の骨の中が腐るかまで気づかないことも多いのです。


3 なぜ、虫歯で抜歯するのか?

極論で言うと、限界を超えて進行した虫歯は抜歯しないと命にかかわるからです。
お口の中は常に体の外からありとあらゆる菌が出入りしています。 人間のからだの表層は、外からの菌に対して体を守る防御機能があり、これはお口の中でも正常な状態であれば、歯の表面のエナメル質であったり、歯ぐきや頬の内側・舌などは表面の上皮が守ってくれています。
しかし、虫歯で穴が開いていると、体の内部である、象牙質や歯髄が菌に対して剥き出しになっている状態です。特に歯髄の部分には血管が入っており、外からの病原菌が直接体内に入って行く状態なのです。
お口の中で歯以外の上皮の部分は傷が出来ても、時間がたてば新しい上皮が出来て傷口はふさがりますが、歯にはそのような再生機能がありません。一度穴が開いたらあきっぱなしです。現代のような人工の詰め物で穴をふさぐ技術がなかった時代では、虫歯になったら穴からどんどん病原菌が体内に侵入し、そのうち歯髄の血管から入った菌が体中をめぐり敗血症になって死にいたるということも普通にあったのです。先日ネットでこの件について調べていたら、現代でも歯科治療を放棄しつづけた結果、お亡くなりになった例を発見しました。 というわけで、虫歯で詰め物も被せもできないくらい限界をこえてボロボロになってしまった歯は抜くしか道はありません。抜けば周りの歯ぐきの上皮で穴がふさがり病原菌の侵入は阻止できます。抜いた部分の歯はなくなりますが、死ぬよりはましという、やむを得ざる選択肢なのです。


4 「虫歯」→「二次カリエス」→「抜歯」の流れをストップするには?

まず、第一に大切なことは自分の歯を良く見ることです。
よく見ればどの歯に詰め物が入って、被せが入っているのかはよく見ればわかります(見方のポイントは後述)。それがわかればどこを注意して磨けばよいのかわかるのです。
なんとなくぼんやり磨いていたのでは、効率のよい歯磨きとはいえません。二次カリエスは詰め物や被せの継ぎ目から進行するわけですから、被せの入っている歯では、歯の頭の先をいくら磨いても意味がないのです。

     


前歯の白い詰め物や被せはちょっと見にはわかりにくいですが、被せなら歯ぐき際や裏側を良く見ればわかる場合が多いですし、詰め物は歯と歯の間の汚れや唾液をよくとってみてみましょう。よくよく見てもわからないくらい上手にできていれば、継ぎ目の段差や溝が少なく二次カリエスのリスクの低い状態といえますし、逆に、見るからに詰め物が入っているとわかるくらいの段差や形がおかしい場合は歯垢がたまりやすいので、研磨しなおしてもらったほうがよいでしょう。

     


        見方のポイント
              まず歯と歯の間をよく磨く。
                   一見それほど汚れているように見えなくても、歯と歯の間の状態がくっきり見えない
                   ようなら 薄い歯垢の膜がかかっています。歯磨き粉をつけない歯ブラシでピンポイ
                   ントで磨いたらしっ かりお口をゆすいでから見てみましょう。しっかりブクブクうがい
                   でお口をすることで、歯の 間にたまった粘性の唾液も洗い流せて歯間が見えやす
                   くなりますので、歯と歯の間に水が通る ようにしっかりブクブクしましょう。



そもそも詰め物がはいっている部分とは虫歯ができてしまった部分であり、汚れがたまりやすく虫歯になりやすい場所といえます。その部分を観察することで自分の虫歯になりやすい場所がわかります。片側の奥歯の溝が虫歯になっているなら、反対側も虫歯になる可能性が高い、歯並びが凸凹重なっている部分が虫歯になったなら同じように重なった部分も注意しましょう。
そうすることで、まだ虫歯になっていない歯を守ることも非常に重要なことです。

その次に大切なこと、それは詰め物や被せが取れかけたら出来るだけ早くきちんと処置することです。
「まだ完全にとれているわけではないから・・・」とそのままにしがちですが、ここまでのお話で、もうおわかりですね。取れかけの詰め物の内側が一番虫歯になりやすいのです。特に詰め物や被せが「さわったらカタカタ動く」という状態は一番ダメな状態です。歯と詰め物の間に菌が繁殖しているのに、詰め物が邪魔をして内部を磨くことも出来ません。確実に虫歯が進行します。 もちろん完全に取れた場合でも速やかに治しに行きましょう。ここまでのお話にあったように「歯の内部が病原菌に対して剥き出しになっている。」状態なわけですから。

そして、治しに行くまでの期間少しでも菌が入るのを減らすために、取れたり取れかけたりした部分はとにかく汚れが溜まらないように気をつけてみがきましょう。(完全に歯垢がとれていれば、ある程度は虫歯の進行をストップすることができます。)

 最後にもうひとつ、ちょっとした注意ですが、虫歯治療の最中に治療されている歯を舌でさわらないようにしましょう。気になって先生が後ろを向いた隙に触ってみたりするのはNGです。治療中の歯に舌についている菌が入ったり、接着剤をつける前に唾液がつくと接着強度が格段に弱まります。接着強度が弱まるというのは特によくないです。いっそ完全にくっつかないとか取れてしまった場合はきちんとやり直しましょうということにもなりますが、半端にくっついている状態が上記の二次カリエスを招くのです。


       まとめ
        ・虫歯は一度治療した歯ほど再発しやすい。自分の歯がどうなっているか良く見て把握!   
        ・被せや詰め物の入った歯は、継ぎ目を重点的にみがく!
         ・取れかけた被せや詰め物の内部は菌の温床!速やかに再治療を!

2017-08-01 15:36:00

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2016年 12月 子供の矯正 早期治療は必要か?

2016年9月
一般社団法人 日本歯科矯正専門医学会(JSO)という団体より「上の前歯が出ているお子さんのための矯正治療ガイドライン」という文書が作成され、現在治療中の患者の皆さんはもとより、これから矯正治療をはじめられたい方々も不安と疑問、または困惑をいだかれているようです。

まず、最初に、一般社団法人 日本歯科矯正専門医学会(JSO)という団体ですが、決して怪しい団体ではなく矯正歯科医によって構成されたひとつの団体ではあります。ただ、今回のガイドラインに関して、あまり知識のない状態で安易に表面上だけを読んでしまうと、矯正治療未経験の方やきちんとした治療を受けている患者さん(長年の修練をつみ経験と研究に基づいて治療を行っている矯正専門医のもとで治療を受けている)までもがあらぬ不安や誤解をいだいてしまう懸念がありますので、順を追って説明していきたいと思います。

さて、ガイドラインは一般歯科医向けのものと患者さん向けのものの二通りが作成されていますが、一般の方やマスコミなどで目にするのは主に患者さん向けのものの方かと思いますので、こちらについてお話していこうと思います。

こちらは患者向け診療ガイドラインというタイトルで、三つの質問とそれに答える回答という形ですすんでいきます。

以下

Q.1 うちの子どもは上の前歯が出ています。 矯正治療を始める時期は、早ければ早いほうが良いのでしょうか?

Q.2 上の前歯が出ている子どもは、永久歯が生えそろうまでは矯正治療を行わないほうが良いということでしょうか?

Q.3 その他のかみ合わせの場合、早期矯正治療の効果はありますか?



これに対する回答文がこちら

A.1 早ければ早いほうが良いということはありません。

A.2  行わないことを強く推奨します。

A.3  確証のある研究や報告はありません。


・・・あまりにも端的というか、もうこれだけ読んだら早期治療は絶対ダメみたいな感じですね。現在お子さんの矯正治療をおこなっておられる皆さんは不安のどん底かと思います。

特にA.2ですね。 このA.2の回答の解説文を読んでみましょう。

Q.2 上の前歯が出ている子どもは、永久歯が生えそろうまでは矯正治療を行わないほうが良いということでしょうか?
A.2  行わないことを強く推奨します。 
早期矯正治療は、すべて効果がないということではありません。有効な患者さんもいます。歯科医師は、必要十分な検査をしたうえで、早期矯正治療の有効性が確実であると診断した場合、早期矯正治療を行うことを患者さんに提案します。
 しかし、現状で注意が必要な点として、科学的根拠のない理論により、すべての患者さんに画一的な早期矯正治療を行っている歯科医師が存在することがあげられます。また、なんら検査を行わず、既製品(できあい)の装置を安易に使用する歯科医師も存在します。そのような歯科医師の行っている早期矯正治療は注意が必要です。


ポイントは下線の部分です。冒頭であれほどきっぱり早期治療を全否定したにもかかわらず、早くも早期治療の有効性の存在も肯定しているのです。
では、なぜこんな矛盾したことになってしまっているのか?
それはその先の文章に述べてありますが、おそらくこの部分こそが彼らの主張したかったことなのでしょう。このガイドラインを作成したドクターたちは文章中にあるような「安易な治療」で迷惑をこうむった患者さんをたくさん見てきたのかもしれません。
で、あれば、冒頭のQ&Aの部分は彼らの解説部分の言葉を借りるなら

A なんら検査を行わず、既製品(できあい)の装置を安易に使用する歯科医師も存在しますので、必要十分な検査をしたうえで早期矯正治療を行うことを患者さんに提案します。

としたほうがよいのではないでしょうか?現行の文章では「世の中には悪い医者がいるから、病院には行かないほうがいいよ」と言っているようにうけとれます。
他の二つのQ&Aに関しても同じような傾向がみられます。


順番は前後しますがQ.1について

Q.1 うちの子どもは上の前歯が出ています。 矯正治療を始める時期は、早ければ早いほうが良いのでしょうか?
A.1 早ければ早いほうが良いということはありません。
 早期矯正治療の確実な有効性は確認されていません。ただし早期矯正治療が有効な患者さんが全くいないというわけではありません。また、6歳以下の患者さんについても、確証のある研究や報告はありません。


こちらの解説でも有効性は確認されていません。のあとに、有効な患者さんが全くいないというわけではありません。となっています。つまり、これだけ早期治療に否定的な立場をとっていても、早期治療が有効に働いている患者さんの存在は無視できなかったようです。(実際問題、早期治療の有効性がどうであったかどうかは、早期治療云々の前に、「確かな経験と技術をもって治療を行っている歯科医」と「安易な治療を行っている歯科医」、どういった歯科医のもとで治療を受けるかによるのではないでしょうか?)

こちらの解説の添付の資料では早期治療を行ったにもかかわらず、永久歯が生え揃う頃には元に戻ってしまっている写真があげられ、結局早期治療を行っても永久歯の治療が必要になった例が挙げられていますが、この症例においても早期治療の後にきちんと保定(よくなった歯並びを安定させるための処置と定期健診)が行われていればこんな結果にはならなかったはずです。
保定は永久歯の矯正の後に行うのはもちろんですが、早期治療のあとにも永久歯列完成まではそれなりの処置と定期検診が必要なのは、ある程度経験をつんだ矯正医ならば予想がつくはずです。

また6歳以下の患者さんについても、確証のある研究や報告はありません。の部分ですが、当院でも上顎前突(出っ歯)に関しては(後述)、永久歯が1本も生えていないようなお子さんでは行っておりません。
しかし、一般的に早期治療とは乳歯から永久歯への生え代わりが終わるまでの時期(~12歳前後。生え代わりの時期は個人差がかなりあります。)に行う治療を指しますので、上記の理由は早期治療自体を否定できるものにはなりませんね。

 当院の場合では上顎前突の早期治療としては、奥歯の6歳臼歯が生えて、前歯の永久歯が4~6本くらい生え変わった頃を目安に行っております。
理由としては、6歳臼歯が生えた頃からが、顎関節や顎のかみ合わせの位置などが大人の永久歯列の完成に向かって形成される時期ですので、上顎前突のお子さんで下顎の成長が弱いタイプの場合には、この時期ならば積極的に顎の成長を促してあげることが可能だからです。
また上顎前突の症例は多くの場合、凸凹の歯並びも併せ持っています。これも顎の骨が小さく歯が並びきらないことが原因ですので、まだ骨の柔らかいこの時期ならば顎の幅を広げてあげることで抜歯することなく改善できます。(もちろんすべての患者さんが抜歯なしで治療できるとは言えませんが、当院ではかなりの高確率で治療効果を出しおり、学会にも報告させていただいております。詳しくは取り外し式装置EOAの項をご覧ください。)

     <取り外し式装置EOAによる早期治療例>

      
     6歳臼歯と上顎の真ん中2本下3本が永久歯(7歳男子)
     かみ合わせの一番奥の6歳臼歯の上下位置関係に注目


      
     取り外し式装置EOAで抜歯せずに顎の幅の拡大と凸凹の改善、下顎の成長発育を促し永久歯列完成
     一番奥の6歳臼歯の上下位置関係で下顎が前方に発育しているのがわかる例
     臼歯部は下顎の歯が上顎に対して半本分前方にあり、上下の歯の山がジグザグにかみ合っているのが正常


ちなみに添付の症例の永臼歯の治療では小臼歯をおそらく4本抜歯して矯正治療を行っているようですが、上顎前突や凸凹の矯正治療において、全部歯が生え変わるまで待ってから小さい顎に合わせて歯を抜いて凸凹を並べるという方法も確かに一つの方法ではあります。
しかし、だからといって他の方法や可能性をまったく切り捨ててしまわなくてもよいのではないでしょうか。


     <永久歯の上顎前突(下顎の発育が弱いタイプ)治療例>

      
     成人 上顎の歯の前突感とともに、横顔のフェイスラインではかなり下顎が小さいのが見受けられる


      
     永臼歯全顎で矯正治療後(小臼歯抜歯)
     歯並びの前突感は改善されているが、骨格的なフェイスラインの改善は難しい




最後のQ,3について

Q.3 その他のかみ合わせの場合、早期矯正治療の効果はありますか?
A.3  確証のある研究や報告はありません。
早期矯正治療の有効性は、患者さんによっても、かみ合わせの種類によっても違いがあります。十分な検査、診断、説明を受け、納得したうえで治療受けてください。


解説はこれだけしかなく、解説自体に急にぼんやりした印象をうけます。前のQ&A二つには多少写真などの参考資料もついているのですが、Q,3の解説は以上です。
ちなみに歯科医師向けのほうには統計などもついているのですが、主にアメリカの治療の報告のようです。
百人に医師がいれば百通りの意見があり、矯正治療にも流派のようなものがあります。永久歯列の治療に重きを置いている先生方には早期治療への理解と研究はいまひとつなのかも知れません・・・。

上顎前突以外のその他のかみ合わせについてということで、話はもどりますが、Q.2の部分で、「当院でも上顎前突(出っ歯)に関しては(後述)、永久歯も生えていないようなお子さんでは行っておりません。」と書きましたが、当院では、下顎前突(受け口の治療)の症例で乳歯期の段階で極端に上顎の成長が小さく、顎の咬み合わせがずれているような場合には永久歯が生える前でも、例外的に上顎の発育を促す治療を行うことがあります。
人間の顎の発育時期は上顎と下顎では時期に差があり、上顎の発育は下顎より早い時期に起こります。対して下顎の成長は高校生くらいまでの長期にわたって発育していきますので、下顎前突や交叉咬合(左右で咬み合わせが逆になっている咬み合わせ)の場合、早い段階で咬み合わせにズレがあると、その後の下顎の発育方向に影響を及ぼし、顎骨のバランスに左右差が出てしまったり(顔の形が右、または左にゆがむ)、下顎前突が助長されてしまったりする場合があるからです。

ただ、下顎前突の場合、骨格的に顎が大きいタイプと、前歯の生える位置などのちょっとしたバランスで受け口になっているタイプがあります。
後者は早期治療が非常に有効なタイプで、下顎自体はそれほど大きくならないので早い段階で前歯の咬み合わせを治してあげれば、その後は安定的に正常な咬み合わせを維持しつつ成長していきます。
しかし、前者は早期治療で一度よくなっても成長期にどんどん下顎が成長していく場合があります。主に両親や親族からの遺伝で、「小さいときには、子どもっぽい丸顔だったけど、思春期に急にお父さんに似て面長になってきた」などという例です。(身長の伸びる時期に連動して下顎も成長します)

こういう症例を取り上げると、「早期治療なんて無駄で意味のないものだ」という結論に飛躍してしまいがちなのですが、自分のお子さんが、この二つのタイプのどちらに相当するかわかりますか?

中には見るから骨格が大きいタイプだとわかるお子さんもいますが(そういう場合は当院でも将来の予測と全顎の永久歯の治療の話をします)、早期治療だけでよくなりそうなお子さんから、その二つのボーダーラインのお子さんもいます。これは長年の治療経験をつむことである程度は予測できますが、我々でも実際やってみないとわからない場合があります。

では、「効果がないかもしれないから、早期治療はしない」これもひとつの選択でしょう。
下顎前突の早期治療にはこのリスクはかならず付いてくるものですので、あらかじめこういった話をさせていただいて、患者さんに十分にご理解いただくことが大切です。その上で、どちらの方法を選ぶかは患者さん自身がよく考えて決められたら良いのではないでしょうか? セカンドオピニオン(現在かかっている医院以外の医師に意見を聞くこと)を含め、我々は出来る限りのアドバイスをさせていただきます。

さて、このガイドラインでは締めくくりの部分で以下のように述べています。

歯科医院の数が増え、子どもの虫歯の数が減少しているため、歯科医院の経営は厳しいのが現状です。自費診療の矯正治療は、そんな歯科医院の大きな収入源になっています。矯正治療を行う歯科医師は増える一方で、かみ合わせや歯並びに問題があれば、すぐに矯正治療の開始を提案する傾向があります。

しかし、たとえ矯正歯科を標榜している歯科医院でも、必ずしも歯科医師に矯正治療に関するきちんとした知識や技術があるわけではなく注意が必要です。すべての患者さんに同一の治療を行うことはあり得ませんし、早期矯正治療を行ったからといって、永久歯を抜かない矯正治療が必ず可能になるわけではありません。

早期矯正治療を受ける際は、必要な検査を受け、治療方法、治療期間、治療費、永久歯列期の見通しなどについて事前に詳しい説明を受け、十分納得したうえで早期矯正治療を開始してください。迷った際は、セカンドオピニオンの活用もおすすめします。


たしかにそういったことはあるようです。矯正歯科の標榜は、歯科医であればだれでも上げることができます。なかには2・3回既製品の矯正器具の講習会に行っただけで矯正治療を始める歯科医もあるでしょう。
大切なのは下線の部分。患者さん自身が治療に関しての理解を深めた上で歯科医院をよく吟味することではないでしょうか?
インターネットで多くの情報が得られる現在、「通い易い」「色々診療しているから便利」「安い」なども医院を選ぶポイントのひとつではあるかとは思いますが、治療の内容自体もできるかぎりよく調べて、十分納得したうえで治療を開始されることを当院からもおすすめします。

2016-12-01 15:56:00

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2016年 9月 12歳臼歯 ちゃんと生えていますか? ―12歳臼歯の部分治療―

 皆さん12歳臼歯をご存知ですか?
その名のとおり12歳ころに生えてくる永久歯で、12歳臼歯まできちんと生え揃って永久歯列の完成となります。
乳歯の抜けた部分に生え変わってくるのでなく、それまでの一番奥の歯(6歳臼歯)のさらに奥にいきなり生えてくるので、たまに親知らずが生えてきたと勘違いされる方もいますが、永久歯の咬み合わせの中でとても重要な役割をもつ歯ですので、上下きちんと咬み合わさっていることが大切です。

12歳臼歯 ちゃんと生えていますか?
 ちなみに12歳臼歯というのは俗称で、正式には第二大臼歯といいます。
6歳臼歯は第一大臼歯、親知らずは第三大臼歯といい、大臼歯は全部で三種類ありますが、現代人は顎が小さく第三大臼歯である親知らずは歯そのものができなかったり、あっても生えてこない人が多いため、12歳臼歯まで揃っていれば正常ということになっています。
 さて、この12歳臼歯ですが、親知らずのように歯そのものがない人はあまりいないのですが、きちんと生えてこないという方が意外といるのです。やはり親知らず同様に顎が小さいことが原因と考えられますが、斜めに生えて、手前の歯にぶつかって生え切れなくなったり、上下で咬み合わなくなったりしているのです。


12歳臼歯の歯列不正の種類と問題点
 12歳臼歯の問題は実際には大きく以下の三つのパターンにわけられますが、いずれも歯として機能できないだけでなく、汚れがたまりやすく虫歯や歯周病の原因になったり、顎の動きの妨げになります。片咬み癖による顔や顎関節の変形にも注意が必要です。

1 鋏状咬合(シザーズバイト  シザー=はさみ バイト=咬合)

    

 はさみ(鋏)の刃のように上下の歯がすれ違っている咬み合わせです。通常でも上の12歳臼歯はやや外向き、下はやや内向きに生えてくるのですが、この外向き内向きの傾斜が強すぎて咬み合わせの面が合わなくなっているので食べ物をしっかりすり潰して噛むことができません。(余談ですが、「咬む」と「噛む」の漢字の使い分けは  「噛(か)む」と「咬(か)む」 -良い咬み合わせのために良く噛む- を参照してください)
本来、臼歯とは字のごとく、うす(臼)のようにものをすり潰すのが役割であり、そのために臼歯の咬みあわせの面には細かい溝が複雑に入っています。この溝同士が上下でぴったり咬み合うように面で合わさるので、食べ物をしっかり捕らえてすり潰すことが出来るのですが、シザーズでは内側と外側のツルッと丸い面同士の接触なので、点状の接触となります。
 また、下の歯の内側・上の歯の外側は汚れがたまりやすい上に、歯ブラシも当てにくく、虫歯や歯周病になりやすくなります。(特にこの状態の人では、上の歯の外側から後ろにかけて虫歯が出来ている人が多いです)
咬みにくかったり、食べ物がつまり易かったりすると、どうしても咬みやすい側ばかりで咬む癖(片咬み)がつき、長年にわたった場合、顔や顎関節の変形につながります。

2 交叉咬合(クロスバイト)



 シザーズとは逆に上の歯が内向き、下が外向きに傾斜しています。
一見咬み合わせの面は当たっていますが、歯の咬み合わせの溝は上下で決まった位置で咬んではじめて溝の山谷が一致しますので、やはり接触面積は少なくなり咀嚼(物を噛むこと)の効率は悪くなります。また、咀嚼時に顎を左右に動かすとき、この変な位置で咬み合っている歯部分が邪魔になりスムーズな顎の運動の妨げになります。
シザーズ同様に片咬みによる顔や顎関節の変形に注意が必要です。

3 傾斜による萌出困難




 斜めや横向きに生えて、隣の歯にぶつかって生え切れなくなった状態です。
たいていの場合、前方に傾斜しており、前隣の臼歯に引っかかって萌出が止まってしまいます。下顎の歯でよく見られますが、上顎でもおこります。
歯の一部(歯の後ろの山のあたり)が出てきたところで萌出が止まったままになったり、いつまでも生えて来ないのでレントゲンを撮ったら、ひっかかったまま埋まっていた、などです。

親知らずにはこういった状態は大変多く、多くの親知らずが抜歯を余儀なくされるのはこのためです。(上図 親知らず傾斜症例)
また、6歳臼歯でもおこることがありますが、6歳臼歯・12歳臼歯は健康上非常に重要な歯ですので、抜くわけにはいきません。ちなみに6歳臼歯一本失うと咀嚼機能の20%を損なうといわれています。できるだけ早く治療して改善してあげたいものです。

 こういった萌出困難な状態は歯としてまったく機能しないだけでなく、非常に汚れがたまりやすく、ひっかかっている隣の6歳臼歯までもが虫歯や歯周病のリスクにさらされます。
傾斜した下側の部分がどうがんばっても歯ブラシをあてることが不可能であり、6歳臼歯との間に虫歯菌や歯周病菌が繁殖するからです。また虫歯になった際の治療が大変難しく、再発や抜歯の可能性が高くなります。

12歳臼歯どうしたらいいの?
 ところで、こういった12歳臼歯の歯列不正、気づいていなかったり、知っていても放置される場合が少なくありません。12歳くらいの年齢になると、親が子供のお口の中をみることも少なくなってきますし、本人も大人と違って、まだ健康への関心や知識もあまりありません。また12歳臼歯といっても、12歳ぴったりに生えてくるわけでなく、個人差によって、遅い人では高校生くらいになります。歯科検診でも集団検診では一番奥にある12歳臼歯は見えづらく、萌出の途中なのか、ひっかかっているのかは判別が困難です。 

 さらに、こういった歯列不正は矯正で治すことになるのですが、ここがまたひとつのハードルになるようです。奥歯の歯並びなので、見た目に気になるわけでなく、痛みがあるわけでもない。自覚としてはせいぜい物が詰まりやすいくらいで、咬みにくさなども感じない方がほとんどです。
この状態で保険のきかない治療費がいくらかかるかわからない矯正歯科の門を叩くのはかなりのハードルなのかもしれません。自分でもどうなっているかよくわからない奥歯を治すといわれても治療法のイメージ自体も想像できないことでしょう。(参考までに以下に当院での治療法と治療費を紹介します) 

 そんなわけで、なんとなく変だなと思いつつ気づかないふりをしがちになる12歳臼歯ですが、しかし傾斜した歯は自然によくなることはなく、年を追うごとに少しずつ悪くなっていきます。一度虫歯の詰め物をした歯は確実に寿命を縮め、歯周病で骨吸収した歯槽骨はもとには戻りません。悪くなってからの歯科治療にはお金もかかるものです。手遅れになって大金をかける羽目になることのないよう、自分やお子さんの奥歯の状況を把握しておきましょう。パノラマレントゲンで簡単に確認できますので、まずはちゃんと生えるかどうかだけでも一度みておくと安心です。

大臼歯のアップライト治療
12歳臼歯に限らず、傾斜した大臼歯は部分的な装置で比較的簡単に起こすことができます。傾斜した奥歯を起こす治療ですので「アップライト」と呼びます。
以下は当院での基本的な治療法と治療費になります。装置は何パターンかありますが、基本の考え方は同じで、傾斜した臼歯の隣の歯を固定源にして、そこに取り付けた矯正装置で押したり引いたりして傾斜歯をおこします。1本の大臼歯をアップライトするのに固定源の歯が1本では力負けして固定源の歯も動いてしまうので、固定源にする歯は反対側の大臼歯とワイヤーの器具(リンガルアーチ)で繋ぎます。大臼歯一本のアップライトであれば装置を着ける歯は以上の3本だけです。装置を着ける歯はいずれも奥歯ですので外からはほぼ見えません。

<部分治療 大臼歯アップライト>
治療期間:半年~1年  
装置の調整:一月に一回  
治療費:矯正管理料 10万円(外税) *別途 検査料・処置料   詳細はこちら→治療費について

2016-09-01 17:40:00

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