ひじや矯正歯科

倉敷で最初の歯列矯正専門の歯科医院|ひじや矯正歯科

文字の大きさの変更方法

文字の大きさを変更してご覧になりたい方はCtrlを押しながら、マウスのホイールを手前に回してください。

 こちらの今月のトピックスのコーナーでは、毎月新しい治療例や歯に関するちょっと気になる話題などを紹介していきます。これから矯正治療を始めたい方も、現在治療中の方も、このホームページを通してよりいっそうのご理解を深めていただければと思いますので、ご意見ご要望などおよせください。どうぞよろしくお願いいたします。

注: 当院のホームページにおける症例写真はすべて実際に当院で治療した症例であり、患者の皆様の協力の下に承諾を得て掲載せていただいております。

その他のバックナンバー

 

HOME»  トピックス一覧»  【症例紹介】

【症例紹介】

  • 件 (全件)
  • 1

2018年 9月 症例紹介 「歯が生えて来ない!」 -夏休みの宿題編―

長かった夏休みも終わり、早九月、皆さん夏休みの宿題はできましたか?
毎年のことながら、ちゃんと間に合うのかハラハラされる親御さんも多いと思います。特に自由研究は親子で頭を悩ませるところですね。
 
さて、今月はタイトルどおり久しぶりの症例紹介ですが、「夏休みの宿題編」ということで、自分自身の矯正治療を自由研究の研究テーマにしたお子さんのお話です。
 
事の起こりは2年前、もう何年か通院されている患者さんで、何気ないお母さんとの雑談中に例によって自由研究に困っているという話題になりました。
ちょっと特殊な症例でお互い色々苦労していたので、「せっかくならこれを自由研究にしたらどうですか?写真等の記録は差し上げますよ~」と、提案してみました。正直、この提案はいままでも患者さんにしてみたことはあるのですが、皆さん恥ずかしいのか、残念ながらなかなか採用されることはなかったのですが、今回意外にもお母さんが乗り気で「是非!!」とのことでしたので、これまでの治療経過と記録、今後の治療計画などをまとめて差し上げました。
ところが、その後「小学生の自由研究でやるのはもったいない」とのことで、残念ながらその年の発表は見送りになり、こちらもすっかり忘れていたのですが、この夏ついに満を持して発表することになったようです。ちょうど治療も一段落したところでしたので、追加の資料などを製作しました。
 
一口に矯正といっても研究の切り口によってはいろいろな方向からの掘り下げ方があると思いますが、今回は治療経過をテーマにするということで、もちろん夏休みの間だけで歯並びが完全に治るわけはありませんので、この場合は5年前の初診時からさかのぼって現在にいたるまでの経過を追っていきます。治療期間が比較的長い症例でしたので治療経過を追っただけでも十分なボリュームの研究になりました。
せっかくですので、当院でも経過を追ってご紹介したいと思います。
 
 


平成25年8月29日
初診
9歳。9月で10歳になるというのに、右上の前歯が生えて来ないというご相談でした。




通常6~7歳くらいで生えてくるのですが、左上の前歯かなり伸びているのに右はまったく生えていません。
そのほかにも、生えているほうの前歯が上下逆咬みになっている(反対咬合)、2番目の歯が生える隙間がない、などいくつかの問題がありますが、まずは生えてこない前歯が大問題です。
この場合二つの可能性が考えられます。

  1. 生えるべき前歯がない(先天性欠如)
  2. 何かが生えるのを邪魔している
レントゲンを撮ってみます。



歯はあるようですが、ごちゃごちゃとしたものが写っています。
もう一枚部分的にクローズアップしたレントゲンを撮影しました。



赤い印の部分に「過剰歯」が2本あります。これが前歯の生えて来ない原因です。過剰歯とはその名のとおり本来の歯より余分に出来てしまった歯でこんな風に骨の中に小さな余分な歯が埋まっていることがあるのです。この過剰歯のせいで前歯が生えて来れなかったり、前歯に隙間ができたりします。(参考トピックス 2008年   3月 過剰歯による歯列不正とその治療 )

こういった過剰歯は、あっても邪魔なばかりで役に立ちませんので、抜歯してもらう必要があります。この抜歯はやや難易度が高いので、岡山の口腔外科の腕の良い先生に依頼しました。

翌月の九月に抜歯してもらい、経過観察します。
生えて来れなかった右上前歯がそのまま自然に生えて来てくれれば、先述の反対咬合などの治療にはいれます。
 


平成26年1月6日
定期健診に来院されましたが、まったく生えてくる気配がありません。
再度レントゲンを撮影。過剰歯はきれいになくなっていますが、右上の前歯三本が骨の中で重なって写っています。


 
より詳しく診るために、3DCTを撮影して立体的に見てみました。



まったく生えそうになかった前歯ですが、両隣の歯と位置関係からみると多少生えそうになってきていることがわかりました。
こちらは、もう少し自力生えてきてくれるのを待つとして、それまでの間に歯が生えるスペースの確保と左前歯の反対咬合の治療を開始するこにしました。

というのも、ここまでのレントゲンで、今後生え変わってくる永久歯が生える隙間がまったく足らないこと、また犬歯の永久歯の位置が隣の歯とかなり重なっていることなどがわかってきたからです。また、すでに生えている左前歯の根っこもやや短く、反対咬合をこのまま長く放置すると顎がゆがんで成長する恐れや、歯の根っこへの悪影響が心配されます。
 


平成26年2月2日
本格的に治療を開始するための検査。
 


同 3月2日
状況と治療計画の説明(取り外し式マウスピースEOAによる上下顎の拡大&反対咬合の改善)
EOA製作用の歯型採り。
   (参考トピックス 2012年  12月 取り外し式装置 EOAはスゴイ!! その2  -EOAでなぜ治る?- )
 


同 3月31日
EOAセット 毎晩就寝時に装着、2ヶ月に1度のペースで来医院、調整
 


同 9月26日
萌出状況確認のため3DCT撮影
 

 
左前歯の反対咬合はEOAによって改善され、右上前歯1番・2番もかなり伸びてきていることが確認できます。
ただし歯が生えるスペースはまだまだたらず、このままでは凸凹に生えてしまいますので、引き続きEOAで顎の拡大を行います。
 


平成27年2月16日
右上歯ぐきが盛り上がって、1番の前歯が生えそうになってきました。
しかし、生えるスペースがまだ足りません。顎の拡大をスピードアップするために上顎の内側に固定式のQHという装置を使用することにしました。
QH製作準備。
 


同 3月21日
QHによる拡大開始(上顎)。
 


同 8月29日
下顎、QHによる拡大開始。
 


平成28年1月6日
上下の拡大が進み、右上1番の前歯が完全に萌出しました。左上2番目の歯も無事生え、前回のCTの時より顎が大きくなった分、凸凹の重なりも少なくなっています。
しかし、先述の骨の中で重なってスタンバイしていた犬歯が心配ですので、再度3DCT撮影。


 
左上犬歯は生えるスペースはまだ足らないものの、はえる位置には問題なくこのまままっすぐ生えそうです。
しかし、右上が・・・。



右上の犬歯は2番目の歯の真上にあり、重なったままです。
このままでは、生えてくることができません。
まだ生えてくる前に矯正装置をつけて引っ張りださなくてはいけません。
   

 
同 2月9日
右上犬歯 開窓&牽引開始
(参考トピックス 2010年  12月 移転歯2 治療例 )
 
平成29年1月6日
上顎犬歯~犬歯の萌出が完了しほぼまっすぐに並んだところです。

 

このまま、もう少し全体を整えれば完成かと思いきや・・・。
 


同 4月14日
前歯が再び反対咬合になってきています。



レントゲンを計測して最初の検査時の骨組みと比較したところ、上顎の発育がややにぶいのに対して下顎が前下方に発育していることがわかりました。
ちょうど13歳、身長の伸びとともに、下顎も伸びる。反対咬合の治療ではめずらしいことではありません。
反対咬合の治療では身長の伸びが止まるまでは油断せずに、経過観察をすることが大切なのです。
 
ということで、発育がにぶい上顎の発育を促す治療として取り外しのフェイスマスクという装置を使用することにしました。
 


同 5月15日
フェイスマスク開始
これは上顎の奥歯につけてある装置の突起にゴムをかけて前方に引っ張るという装置で、主に夜間就寝時に使用します。
 
またこの時点で上下顎の乳歯はすべて永久歯に生え変わったのですが、隙間が残ってすきっ歯になっています。この隙間分を上は前方に下は前歯を内側に移動すれば前歯の反対咬合が治りやすくなります。これには上下のすべての永久歯にブラケットをつけて全顎で治療するMBSという治療が望ましいのですが、そうなるとさすがに追加の治療費が必要になってきます。しかし、経済的になんとか乳歯期の治療費内でできるところまでで納めてほしいというご希望があり、これまでの治療もよく頑張ってくれていましたので、出来るかぎりご希望にそえるようにと、イレギュラーではありますが、以下のように一部だけ装置をつけてゴムをかけて隙間を閉じてみるという、ごく簡易的な方法を試してみることにしました。写真ではわかりにくいですが、下の歯の歯列に直接透明なゴムがかけてあります。
 
同 6月16日


 


同 9月12日
なんとか上記の方法のみですきっ歯が治り、上顎も充分前方発育しました!
これまでのお口の中についていた固定式の装置はすべて撤去し、新たに上の歯の内側に凸凹や隙間が戻らないよに固定し、顎の咬み合わせを安定させるマウスピースを製作し就寝時に使ってもらっています。
先述のように、反対咬合の治療では身長の伸びが止まるまでは油断禁物なのです。加えて最後の永臼歯12歳臼歯もまだ生えていません。
12歳臼歯まで全28本の歯がきちんと咬み合ってくれば、完成となります。
 


平成30年8月1日



装置撤去から約1年。全顎の治療をしていないので上下の真ん中はややずれていますが、並びも良く、上下の咬み合わせもよく安定しています。下の12歳臼歯が生え始めてきましたが、位置がやや微妙なので、なんとかいい位置に生えてくれるようケアしながら、注意観察中です。
 
 
 

2018-09-01 10:42:00

コメント(0)

2017年 2月 永臼歯の生える位置がずれて、前歯の根っこが吸収された症例

今月は久しぶりに症例のご紹介です。
以前、歯の根っこが溶ける「歯根吸収」についてお話したときに、治療の途中ではありますが一部ご紹介した症例の患者さんが、先日やっと治療終了いたしましたので全体の経過に沿ってご紹介したいと思います。

まずはこちらの画像



以前のトピックス「2015年  10月 歯の根っこが溶ける!? -歯根吸収-」に掲載したものです。 こちらは治療の途中での画像ですのでまずは治療前のCTを見てみましょう。



両側の前歯の上に斜めに乗っかっているように見える歯は永臼歯の犬歯です。
本来は真ん中から3番目に生えるべき歯です。

外観を見て見ましょう。



一見普通の歯並びに見えますが、真ん中から3番目の歯は乳歯です。注意してみると右上の二番目の歯の歯ぐきが盛り上がっているのがわかります。

もう一度角度を変えてレントゲンを見てみましょう。3DCTは一回撮影すれば様々な角度から骨の内部を見れるところが非常に便利です。



やはり犬歯の位置が斜めにずれています。このまま放置すると2番目の歯の真上に生えてくるばかりか、2番目の歯の根っこが溶けてしまいます。
          
     <犬歯が2番目の歯の真上に生えた症例>
     
     
     <下の歯の刺激で歯の根っこが溶けていく様子>


この症例では両側の犬歯の位置に異常が見られますが、まずは今にも生えてきそうな右側の犬歯から移動を開始しました。
治療はリンガルアーチという装置を使って犬歯を本来の位置まで移動させていきます。流れとしては以下のようになります。

 1、 犬歯を牽引する足場にするため奥歯に装置の固定源となるバンドを入れる。
 2、 その奥歯のバンドにリンガルアーチをセットする。
 3、 一般歯科で歯ぐきを被っている犬歯の表皮をブラケットが装着できる面積だけ切り取り(開窓)、
   歯面を露出させてきてもらう。同時に乳歯の犬歯も抜歯してもらう。
 4、 犬歯にリンガルアーチのアームをセットし後ろに移動させる。

詳しくは「2010年  12月 移転歯2 治療例」のトピックスと同じ流れになりますので、そちらをご参照ください。

     
     <開窓してブラケットを装着した犬歯と 奥歯にセットされたリンガルアーチ>


五ヵ月後。
犬歯がほぼ所定の位置まで移動したところです。



 CTで根っこの状態を確認します。



犬歯も2番目の歯も根っこは無事で、こちらは引き続き下の歯とともにきれいに並べていきます。

さて、問題は左の犬歯です。右より位置のずれが大きくほとんど1番目の歯の真上にあったため、このまま自然に1番目の歯の部分に生えさせる予定で経過を観察してきました。(1番目の歯に部分に犬歯を配列した症例は近日中にまたご紹介予定)



しかし、伸びてくる方向が悪く左の2番目の歯にも影響がでそうなことと、患者さんサイドに抜歯への抵抗感、また右側が予想以上にスムーズに移動し歯根の状態も良かったことから、左も正規の位置への移動を試みることになりました。


6ヵ月後。



左も無事移動してきました。



 ここまでくればほぼ大きい山場は乗り切ったといえます。あとは全体のバランスを見ながらかみ合わせを整えていきますが、この左の1,2番の前歯は犬歯の影響で歯根が弱っているため細心の注意が必要です。犬歯の後方移動にひっぱられて2番目の歯の手前にスペースが開いていますが、これはできるだけ矯正力をかけないようにこの前月までこの2本には一切装置をつけないでいたため自然に開いてしまったもので、最終仕上げで注意深く閉じていきます。



正面と右からみたところ。あれほど位置のずれていた右犬歯もすっかり歯列に収まっています。


14ヵ月後。



治療完了です。治療開始からは2年2ヶ月です。きれいな歯のアーチに犬歯が収まっています。固定として歯の裏側に極細いワイヤーでとめています。


<治療前後のパノラマレントゲンの比較>

2017-02-01 14:42:00

コメント(0)

2016年 2月 犬歯が生えて来ない!? -犬歯舌側埋伏症例-

さて、今月は久しぶりの症例紹介です。
まず、こちらの写真をごらんください。



 
一見すると、気になる部分は上顎の前歯の前突感と すきっ歯ですね。
しかし、レントゲンを撮ってみると、、、
  

上の前歯の根っこの部分に重なって斜めに写っている歯がありますね。これが永久歯の犬歯です。
この患者さんの主訴は「乳歯がぬけたのに永久歯の犬歯が生えて来ない」ということで、左側は乳歯が抜けたまま隙間になっており、右は乳歯の犬歯が抜けずに残ったままです。
では、なぜ生えて来ないかというと、原因は犬歯が通常よりずれた位置に出来てしまったからです。

一般に永久歯が生えて来ない原因は大きく分けて二通り。ひとつは永久歯自体が出来ていない「先天性欠如」、もうひとつは永久歯が本来の場所とは違った位置に出来てしまった「移転歯」です。
当院のホームページでは、これまでも犬歯の萌出異常の症例は何度か紹介してまいりましたが、こちらは今までの症例とは違うタイプの症例です。

    参考症例:歯の生える場所が入れ替わる!? -移転歯-
         移転歯2 治療例
         移転歯+先天性欠損+矮小歯・・・その治療例



 何がどう違うのかというと、レントゲンではわかりにくいですが、この症例の犬歯は上顎の内側のほうに向かって埋まっているのです。(写真 丸の部分にうまっています) 

        


より確実に把握するために3DCTを撮影しました。立体的に見えるので歯の重なりの前後の位置関係がよくわかります。


 
   

幸いこの犬歯は埋まっている向きから推測して、他の歯の根っこに当たって歯根吸収を起こす心配はなさそうですが、きちんと生えさせて歯列に並べるのはかなりむずかしそうです。
基本的な方法は通常の移転歯と同じく、歯の埋まっている部分の歯ぐきに穴を開けて埋まっている犬歯に装置をかけて牽引していくのですが、歯の埋まっている位置がいままでと違い内側のほうにあるため、通常のリンガルアーチという装置がつかえないのです。

       <一般的な移転歯症例   2010年  12月 移転歯2 治療例>

   

   
 
そこで、特別な設計をしてワイヤーアームで犬歯をひきあげつつ、外側に押すという装置を製作しました。
まずは口腔外科の先生に依頼して歯ぐきを開けてもらい、埋まっている犬歯の先端を装置が着く面積だけ露出させてもらいます。その後すぐに当院にて、露出した部分に装置のワイヤーアームを固定するための突起を接着します。(露出させたらできるだけ早く装置をかけないと歯ぐきの組織が増殖してきて穴が埋まってしまうので、あらかじめワイヤーアームの装置のベースは装着しておいてから、口腔外科に依頼します。)

突起にワイヤーアームを固定し犬歯を引き上げていきます。
以下の写真は動かし始めて2ヶ月経過した時点です。かなり、生えてきています。


 

更に一ヵ月後。犬歯を歯列に並べるために外側に向かって押していきますが、犬歯が歯列に入るために充分な隙間が必要です。
前歯の中心の隙間を閉じたり、歯列全体の形態を整えるためにもすべての歯に装置をかけていきます。

   

隣の歯に犬歯がぶつからないように注意深くうごかしていきます。
上下の咬み合わせにも注意が必要です。上の写真では下の歯の咬み込みが深く、犬歯を外に移動させるのに邪魔になっています。
こういった全体の歯とのバランスをとりつつ、更に3ヶ月後。犬歯の移動を開始してから半年が経過しました。

  
左側   右側

犬歯はほぼ歯列まで移動しましたね。
あとは全体の歯並びとかみ合わせの仕上げです。一見ほとんどいいように見えますが、ここからが第二の勝負です。
左右のかみ合わせを見比べてみてください。
右側からの写真のほうが出っ歯に見えますね。左右のかみ合わせが非対称です。

意外に思われるかもしれませんが、このかみ合わせの非対称を治すのに、ここから約1年半かかります。
美容整形などで見た目さえよくなればOKということなら、ここで終わってもよいのでしょうが、あくまで健康なかみ合わせを目指すのが歯列矯正の本道、あせらずもうひとがんばりです。


治療終了!


                              

治療期間2年1ヶ月。左右共にしっかり咬んでいます。前歯から犬歯のひとつ後ろに歯まで、後戻りしないよう、歯の裏から固定しています。他にも歯列のアーチ型全体をキープするために取り外し式のマウスピースを使用してもらいながら、安定させていきます。


さて、今月は少し珍しい症例をご紹介させていただきましたが、実はこういった移転歯は年々増えています。当院ではこういった症例は以前は一年に一人か二人くらいといったイメージでしたが、最近では本当に頻繁にいらっしゃいます。しかも、次々と難しい位置や、犬歯だけでなく奥歯の小臼歯の移転歯、当院に来られた時点で既に根っこの損傷が始まってしまっている症例など枚挙に暇がない状態です。外科の先生と連携をとりながら治療に精進する日々ですが、皆さんも歯が生えてこない、へんなところが盛り上がってきたなど異常に気づかれましたら、お早めにご相談ください。

2016-01-18 16:38:37

コメント(0)

2015年 4月 先天性欠如2 部分治療と接着性ブリッジ

さて先天性欠如シリーズも3回目です。
2月は矯正治療せずにレジンベニアで歯の隙間をリカバーする症例をご紹介しましたが、今月は矯正治療で治した症例のご紹介です。
 
まずは治療前の二つの症例を並べて見ましょう。

<Aさん レジンベニア症例>                           <Bさん 矯正治療症例>
      
 
とてもよく似た症例です。お二人とも上顎の真ん中から二番目の歯(側切歯)が左右ともに欠如しているため前歯に分散して隙間があります。
Bさんは真ん中の隙間はありませんが、これは以前に他の医院で隙間の部分に歯科用のレジン(樹脂)をつけてもらったそうで、もともとはAさんと同じように真ん中にも隙間があったようです。
レジンベニアのように表面をコーティングしているのではなく、歯の横にだけつけているので真ん中の樹脂部分が少し変色しています。
咬み合せの面からみるとこんな感じです。

<Aさん>                                      <Bさん>
     
Bさんは右上の二番目の歯の横にも隙間がありますね。
Bさんにもレジンベニアのみで見た目をリカバーする方法と矯正で治療する方法の二通りのご提案をさせていただきましたが、若干全体の隙間の量が多かったのと、前歯の咬み合せも治したいというご本人のご希望がありましたので、前歯の部分矯正で治療することになりました。
装置は前歯4本と奥から二番目の左右大臼歯のみにMBS(マルチ ブラケット システム)を装着しました。
隙間は閉じるのではなく二番目の歯のあるべき部分に集めて、そこに新たに人工の歯をいれます。
これは隙間を無理に閉じると、上の歯の数が少ない分 下の歯列とバランスが合わなくなり、うまく咬み合わなくなってしまうからです。
 
治療期間は9ヶ月。こちらが治療後です。
 
 
 
以前真ん中の歯に隙間をリカバーするためにつけていた歯科用レジンも除去し、元の自然な歯の形に戻して矯正で歯を移動させて隙間を詰めました。
二番目の歯は人工歯で、接着性ブリッジという方法で両脇の歯に固定されています。
(矯正終了後にホワイトニングを希望されているので、ホワイトニング後の色にあわせて人工歯はあえて元の歯より少し白いものを使用しています)

 
     

 
接着性ブリッジのメリットは一般的な被せるタイプのブリッジのように固定源となる両脇の歯を削る必要がないということです。
デメリットは被せタイプと比べると強度が落ちるという点ですが、矯正で以前より咬み合せを浅くして前歯の負担を軽減していますので、当面この接着性ブリッジで試してみて特に破損などがおこらなければ このままで問題ありませんし、もし破損などの問題が起こるようであれば、そうなってから初めて歯を削って被せるブリッジにしても遅くありません。
当院で行う接着性ブリッジに関しては、矯正治療の一環として行っており、特に追加の費用は必要ありません。
 
また、今回の症例では隙間をあつめた量がちょうど欠如している歯と同じくらいでしたので、部分治療でも歯列に隙間を残すことなく治療できました。
横からみても隙間は見えません。
 
 
Bさん 矯正治療後

 
Aさん レジンベニア後


前回のレジンベニアのときに少し書きましたがレジンベニアでは隙間の量や咬み合せによっては隙間をすべてリカバーするのは難しいのです。Aさんの場合も横の方には隙間が残っています。
 
もちろん矯正治療でも咬み合せの状態やあまりに隙間が多いと、すべて閉じるのは難しい場合があります。こういった場合は全顎で矯正して咬み合せごと治療するか、できるだけ歯を前に移動させて前歯の隙間は閉じて目立たない横のほうへ隙間をのこしたり、部分的にレジンベニアや被せなどを併用したり様々です。
 
先天性欠如に限らず、虫歯や歯周病で歯を失ってしまっている方はたくさんいます。
なくなったものを嘆いてもしかたありませんので、残された歯をいかに有効に使ってリカバーするか、またいかによい状態で長持ちさせるかが大切なのではないでしょうか。
そのためにはどうしたらよいのか?自分にはどんな方法があっているのか?ぜひ一度ご相談ください。

2015-04-01 10:52:00

コメント(0)

2015年 2月 すきっ歯を二日で治療! -レジンベニア-

           
 今月はレジンベニアのお話。
レジンベニアは治療法のページでもご紹介していますが、歯の表面に歯科治療で使用する樹脂素材(コンポジットレジン=略称CR)をコーティングする方法です。(レジンベニア参照
治療法のページでは歯の着色をリカバーするホワイトニングの手法として紹介していますが、今回は応用編として 歯の隙間をリカバーする手法をご紹介します。
 
まずはこちらの患者さんの写真。
 

 
前歯がすきっ歯になっています。咬み合わせの面から見るとこんな感じ
 

 
真ん中と両脇、左の二番目と三番目の間の4箇所に隙間があります。
この方の場合、前歯の真ん中から二番目の歯がないため、顎に対して歯の数が足らず隙間ができてしまっています。
各隙間は1,5㎜ぐらいずつあります。
 
下顎の前歯も一本足らなかったので、おそらく先天性欠如(生まれつき歯の数が足らない状態)だと思われます。先天性欠如といっても奥歯の咬み合わせもしっかりしていますし、下の歯は隙間もできてないので健康上それほど問題はありません。
逆にこの方の顎のサイズで歯の数がすべてそろっていたら、おそらく出っ歯か凸凹の歯並びになっていた可能性が高いです。
しかし、やはり隙間は見た目上気になるそうなので、レジンベニアでリカバーすることになりました。
 
こちらがレジンベニア後です。
 

 
真ん中の2本と左上の歯、計3本にベニアを施しています。
ベニアは一本につき30分はかかりますので、二回に分けて行いました。
初日に左上の歯を1㎜弱大きくしました。図解するとこんな感じです。
 

 
歯の両脇にレジンを足すだけの方法ですと、年月がたって色素沈着したときに継ぎ目の部分が目立ってくるので、表面も一層コーティングするのがポイントです。
よく虫歯の治療で部分的に詰めたレジンが、色素沈着でその部分だけ茶色くくすんで、ツギあてしたように まわりの歯質から浮いて見えている方を見かけますね。
表面全体をコーティングした場合は、色素沈着しても表側に境目がないので比較的目立ちにくく、多少のくすみなら一層研磨すればベースの白い色が出てきます。
 
ただし、継ぎ目が隣の歯との間か裏側にくる分、形態と研磨に細心の注意が必要となり、処置にはかなりの集中とお時間がかかります。
一回の処置は2本が限界です。
 
というわけで、初日に左上の歯を施術しましたので、二回目は真ん中の2本を一度に処置しました。
一度に2本となると、一時間超えの診療にこちらも患者さんもお疲れぎみですが、前歯の隙間がなくなった喜びはお互いひとしおです。
くらべてみても、印象がまったく違いますね。
 

 
ところで、咬み合わせの面からの写真でお気づきの方もおられるかもしれませんが、隙間がもう二箇所残っています。
これはこの隙間を全部埋めるほど歯を大きくレジンを足してしまうと、歯の形のバランスが悪くなるからです。ならば横の歯を大きくしたいところですが、この両横の歯は咬んだ時に下の歯ががっちりあたる咬み合わせなのでこの部分にレジンをつけても、咬む力に負けてすぐに壊れてしまいます。
レジンベニアも万能ではないということです。
 
咬み合わせにもよりますが、基本的に下顎の歯も同様の理由でレジンベニアには向きません。
もちろん矯正治療を行えば、隙間をとじることは可能です。
ただ最低でも数ヶ月の期間は必要になりますので、「時間がない」「今すぐ真ん中の隙間だけでもすぐに目立たなくしたい」などといった場合の選択肢のひとつとして、レジンベニアはご一考いただける方法です。
また、歯が欠けてしまった場合などのリカバーにも応用することができます。費用も矯正治療と比べると格段にお手軽ですので、前歯の見た目にお悩みの方は是非一度ご相談ください。(治療費一覧はこちら

2015-02-01 16:48:00

コメント(0)

2014年 11月 症例 入れ歯と歯周病と矯正治療 2

さて、前回ご紹介しました、42歳 女性 下顎前突の全顎のマルチブラケット症例、今月は治療編です。

まずはおさらい。初診時の状態です。(2014年  10月  症例 入れ歯と歯周病と矯正治療 1 )

                

   

   
     <前歯の入れ歯> 
     


、、、ということで、
やるべきことは満載なのですが、まず第一に手をつけなくてはいけないのは矯正治療中に前歯の入れ歯部分をどうするか?!という問題です。
両脇の歯は治療で動かさなければいけませんので固定源には出来ません。
そこで、考えたのは奥歯の比較的しっかりしている第一大臼歯からアームを出して前歯を維持する方法です。


奥の大きい歯がアーチ状の太いワイヤーでつながっていますね。さらにそこからやや細いワイヤーのアームがでており真ん中の人工の前歯をささえています。

人工歯と両脇の歯はワイヤーと接着剤で固定してしっかりつなげています。
この仕組みは一石二鳥で、人工歯と両脇の二本の歯を連結し、アームの力でこれらの歯を押し下げて下顎の歯との逆になっている咬み合せを乗り越えやすくします。
正面からみるとこのようになっています。

動かし初めてすこしたっているので真ん中の人工歯が短く見えますが、下の前歯との隙間分、両脇の歯ごと押し下げられたということです。
同じく横から見た写真ですが、前歯の移動と平行して、下顎の歯と横の歯も凸凹を並べていきます。
 
治療開始5ヶ月
前歯の咬み合せが浅くなってきましたので、次のステップへ

今まで前歯と、左右の犬歯以降の奥歯の3つ部分に分けて動かしてきた歯を一本のワイヤーにつなげて、アーチの形を整えながら、前歯の逆咬みを改善していきます。
写真は7ヶ月目のものですが。上の前歯の表側にもブラケットが装着され外へ向かって移動中です。

人口歯は動かさないので、ワイヤーを迂回させています。
正面から見ると、右の前歯(写真左)はすでに下の前歯を越えて正常咬合になっているのがわかりますね。
中央の人口歯は引き続き裏側で奥歯から固定されていますので、実はブラケットは必要ないのですが、
患者さん本人より、「真ん中の歯だけ装置が着いていないと見た目のバランスが気になる」とのことで装着しています。

後は不要な歯の隙間を閉じながら咬み合せを整えていきます。
写真ではわかりにくいのですが、上顎のアーチの奥歯の部分が狭く、下顎の歯ときちんと咬み合っていません。

歯の数と咬み合せのバランスからいって、すべての隙間を閉じるのは不可能なので、上の前歯と右上の5番目、左下の奥から二番目の歯は矯正治療終了後、ブ リッジを製作する予定でかかりつけの一般歯科の先生と連携をとりながら、ブリッジの部分に歯のサイズ分の隙間をあつめていきます。

下顎の前歯は接着性ブリッジ(上、初診時図解参照)の真ん中の人工歯の部分は少しずつ小さくしながら隙間を閉じていき天然歯のみにします。
治療開始1年10ヶ月後です。
ずいぶん整ってきました。
右上2番と3番目の間に(写真では左上)まだ隙間があります。

奥歯の咬み合せを整える必要があるので、
前歯の人工歯とつないでいた内側の太いワイヤーははずしてやらねばなりません。

人口歯は両脇の前歯と接着し、さらに外側の太目のアーチワイヤーにしっかり固定します。
下顎の隙間は、接着性ブリッジの部分もふくめ完全に閉じました。
歯の数を数えていただくと、一本少なくなっているのがわかるかと思いますが、全体としてはバランスよく咬めるように仕上げています。

治療開始2年10ヶ月、治療終了。
コチラの写真は治療後からさらに11ヶ月経ったものです。
奥歯もとてもしっかり咬みあっています。
ブリッジは前歯6本分の連結のブリッジと、右上5番目の前後歯の2箇所になっています。
左下のブリッジはまだ製作されていません。
奥歯の安定を待っている状態です。
基本的に矯正治療直後は咬み合せが不安定なので、落ち着くのを待ちながら、半年から一年ぐらいようすを見て製作していきます。
   


今回の症例は歯周病の骨の吸収度合いからいって、矯正治療ができるギリギリでしたが、患者さん本人のモチベーションとご協力によって無事治療を完了することができました。
治療中も少しずつ歯並びがキレイになっていくたびに感謝のお言葉をいただき、本当にこの仕事をやっていて良かったと実感させていただきました。今後も患者 さんと一体になって治療をがんばっていかせていただきたいと思います。


   
                  治療前42歳
     
 
                     治療後45歳
     
 

2014-12-03 14:28:10

コメント(0)

2014年 10月 症例 入れ歯と歯周病と矯正治療 1


前回に続きまして今月も症例のご紹介です。
今回の症例は、42歳 女性 下顎前突の全顎のマルチブラケットによる治療例です。

コチラが初診時

 

2014年10月 症例 入れ歯と歯周病と矯正治療 1

 

歯周病ですでに数本の歯を失っています。また、虫歯で治療中の歯もあります。
具体的にいいますと

 

2014年10月 症例 入れ歯と歯周病と矯正治療 1

 

ここで、歯周病について少し説明しておきましょう。
「歯周病って歯ぐきから血が出るやつでしょ?」、「歯周病で歯が抜けるってどうゆうこと?」とお思いの方も多いと思いますが、一言でいうと歯周病とは「歯ぐきに繁殖した細菌の毒素で歯の周りの骨が溶けていく(骨吸収(こつきゅうしゅう))」病気です。

レントゲンで骨の状態を見てみましょう。

 

2014年10月 症例 入れ歯と歯周病と矯正治療 1

 

歯周病による骨吸収が全体に広がっているのがわかります。特に上の前歯の病状が悪く、真ん中の二本は根っこの先まで骨が溶けてしまったため抜けてしまったのです。

ところで、この患者さんの歯並びですが、上の写真で見ると、いわゆる受け口(下顎前突)と呼ばれる歯並びですよね。
しかし、ここにこの患者さんの前歯を失う前の写真があります。

 

2014年10月 症例 入れ歯と歯周病と矯正治療 1

 

真ん中の写真を見ていただければわかりますが、もともとは受け口(下顎前突)でなく、叢生、つまり凸凹の歯並びで俗に言う八重歯です。

この患者さんは一般歯科で歯周病の治療を受けており、歯を失ってからは入れ歯を使われていました。やっと歯周病の進行が治まってきたので、失ってしまった前歯をブリッジで補うことになったのですが、咬み合せが悪いために上手くブリッジが出来ないので歯並びを整えてほしいという依頼でした。

 

2014年10月 症例 入れ歯と歯周病と矯正治療 1

 

たしかに元の歯と同じ形のブリッジにするのは下顎の歯が間に咬み込んでくるので、両脇の土台になる歯の負担が大きすぎます。また、下顎の歯と当たらないように一列に並んだ形でブリッジを作ると受け口になってしまいます。

 

2014年10月 症例 入れ歯と歯周病と矯正治療 1

 

要するに、この症例における、最大の矯正治療の目的は、「逆咬みになっている二本の前歯を下顎の歯より外に出す」ということです。

そこで問題になるのが、その二本の前歯の周りの歯周病です。レントゲンで見ると歯根の先3分の1程度しか骨に埋まっていません。ここまで骨吸収が進んでいると、矯正治療で不用意に過分な力を加えると、すぐにグラグラになって最悪の場合は歯が抜けてしまいます。

地面に棒杭を立てて揺すってみるのをイメージしてみてください。杭が深く埋まっているほど押しても倒れません。反対に埋まり方が浅いと、ちょっと揺らしただけでもすぐにグラグラになって倒れてしまうでしょう。

 

2014年10月 症例 入れ歯と歯周病と矯正治療 1

 

この、歯に加わる力ですが、矯正治療だけでなく、物を噛む力もかなりの負担になります。

そもそもこの方の歯並びは凸凹があるわりに隙間がたくさんあります。
本来歯並びの凸凹とは、歯が並ぶ隙間が足らない場合に、なんとか押し合いへしあいして生えようとしておこるものです。おそらくこの方も、もとからこういう歯並びだったのではなく歯周病で骨が溶けていくにしたがって、自分自身の噛む力の負担に耐え切れずに歯が倒れて隙間が開いてきた可能性が考えられます。
(余談ですが、歯周病などで歯がグラグラしたり違和感がある場合に、気になって自分で歯を触ったり揺すったりする方がいますが、絶対にNGです!もっとグラグラになって骨の吸収が早まります)
< 参考トピックス 矯正治療の最大の敵 歯周病 >

 

2014年10月 症例 入れ歯と歯周病と矯正治療 1

 

さてではこの歯を動かすためにはどうしたらよいのでしょう?

注意すべきポイントは、2つ
①下顎の歯が当たって歯が揺らされるのを出来るだけ抑える
②歯が傾斜しないように弱い力でゆっくり動かす

ポイント①の「下の歯が当たる」というのはつまり、内側に入っている前歯を外側に出す際に外に向かって移動させていくわけですが、噛むたびに下顎の前歯があたって押し戻されようとします。外に出す矯正の力と内に戻す咬み合せの力で歯が前後に揺さぶられることになり、コレは歯にとって大変な負担になります。前述のように歯が揺さぶられると歯の周りの骨の吸収が進行して、最悪の場合抜けてしまいます。

 

2014年10月 症例 入れ歯と歯周病と矯正治療 1

 

ポイント②の「歯が傾斜しないように」というのは、歯というのは移動させる際に単純に力をかけただけでは、傾斜しながら移動するのです。特にこのように歯周病で骨の量が減っている場合、比較的弱い力でもすぐに動きますが、その分大きく傾斜します。

 

2014年10月 症例 入れ歯と歯周病と矯正治療 1

 

こうならないためには力の方向と強さに細心の注意が必要であり、特殊な設計が必要になってきます。

最後にもうひとつ大きな問題があります。矯正治療中に入れ歯の部分をどうするか、という問題です。
既存の入れ歯は犬歯に固定するように作られていましたが、もちろん矯正では犬歯も動かしますので、固定できません。そもそも矯正中は日々歯並びが変化していくわけですので、入れ歯自体歯を動かす邪魔になります。
通常こういう場合すぐ隣の歯の接着剤で仮固定のブリッジを作ったりするのですが、ブリッジは上記の理由で不可能。
また固定する歯もすぐ隣の歯は骨吸収がかなり進んでいるので負担が大きすぎます、、、。

というわけで、数々の問題をはらんだ症例ですが、2年10ヶ月後

 

2014年10月 症例 入れ歯と歯周病と矯正治療 1

 

けっして全部抜いて入れ歯にしたわけではありませんよ(笑) 
さて、実際の治療がどのような経過ですすんでいったかは、以下次回!!

 

2014-12-03 14:23:25

コメント(0)

2014年 9月 56歳 女性 下顎前突 全顎マルチブラケット症例


さて、今月は久しぶりに症例のご紹介です。
今回の症例は、56歳 女性 下顎前突の全顎のマルチブラケットによる治療例です。
まずは、百聞は一見に如かず、治療前後の写真をご覧ください。

 

<治療前 H24.9.7>

治療前 H24.9.7

 

治療前 H24.9.7

 

<治療後 H26.4.25>

治療後 H26.4.25

 

治療後 H26.4.25

 

劇的な変化だと思いませんか?
年齢的に、虫歯による治療痕や歯の破損&欠損などが多く、色々大変なこともありましたが、この患者さんの素晴らしいところは、歯周病による骨吸収がほとんどなく、顎の骨がとてもしっかりしていたという点です。

具体的にいいますと

 

2014年9月 56歳 女性 下顎前突 全顎マルチブラケット症例

 

2014年9月 56歳 女性 下顎前突 全顎マルチブラケット症例

 

という状態で、特にかぶせ④と⑥は、もともと歯の位置がもっとずれていたところに生えていたはずですが、 被せを作るときになんとか歯列納まるように作られたらしく、本来の歯の根っことかぶせの向き合っておらず形も不自然なものでした。ブリッジの部分も連結された状態では歯並びを動かせないため、分割する必要があります。
他にも歯科用の樹脂による修復の形態不良などもあり、これらは治療を進める過程で少しずつ治療修正していきました。

ところで、このように歯に注目してみるといろいろ大変そうなのですが、骨に関しては素晴らしく良い状態です。
下の奥歯のブリッジの部分など、ややもすれば矯正治療中に矯正力の負担に負けてぐらぐらしてきたりするものですが、この方の場合は、治療中一貫してびくともしませんでした。
以下のレントゲンは歯周病で骨の減っている方のものですが、見比べると奥歯の辺りの歯と骨の関係がずいぶん違うのがおわかりかと思います。(参照 歯周病は歯茎が溶ける)

 

2014年9月 56歳 女性 下顎前突 全顎マルチブラケット症例

 

とはいうものの、複雑に咬み合った前歯や、補綴物(かぶせやブリッジ)など注意すべき点は多く、少しずつ治療を進めていきました。

以下順を追ってみていきましょう。
まず、上下逆咬みの受け口になっている咬み合わせを治さなければなりません。

 

2014年9月 56歳 女性 下顎前突 全顎マルチブラケット症例

 

上下の前歯は、奥歯で咬みあわせた状態では本来は上の前歯が外に出ていなければなりません。
しかし、この状態で上の前歯を外に押しても、下の前歯が、外からがっちり押さえ込んでいるので、噛むたびに押し戻されてしまいます。

 

2014年9月 56歳 女性 下顎前突 全顎マルチブラケット症例

 

そこで前歯の上下の重なりを浅くして、上の前歯が外に出やすくしてやります。
上下の歯のマルチブラケットを装着し、下の前歯には咬み込みが浅くなるように特殊なワイヤーがセットされています。
上の写真と比べると重なりが浅くなり始めているのがわかりますでしょうか?
左下の奥歯のブリッジは前後の歯に分割しています。

 

2014年9月 56歳 女性 下顎前突 全顎マルチブラケット症例

 

8ヵ月後。奥歯をしっかり咬み合わせた状態ですが、上下の前歯の重なりはほとんどなくなり、その分上の前歯は以前より外に出てきました。
咬み合わせを浅くするのと平行して、歯並びの凸凹も治しているので、上下とも前歯がまっすぐ一列に並んで来ています。

 

では、凸凹の治っていく様子を別の角度から見てみましょう。上記のようにかぶせの入っている歯が多いので、随時修理や作り直しを行いながらの治療でした。

 

2014年9月 56歳 女性 下顎前突 全顎マルチブラケット症例

 

まずは大きすぎる右上の二番目のかぶせの作り直しをしなければなりません。
(画像上では左上、上述のかぶせ④)
矯正治療後のかみ合わせに合うようにするため、治療中は仮のかぶせにします。

 

2014年9月 56歳 女性 下顎前突 全顎マルチブラケット症例

 

小さめの仮のかぶせにしましたが、歯が並ぶ隙間が足らないのでまだ装置は着けられません。
奥歯の金属のかぶせの部分には接着剤が付にくいのでバンドというリングを歯にはめ込んで装置をつけなくてはなりません。青いゴムはその準備です。

 

2014年9月 56歳 女性 下顎前突 全顎マルチブラケット症例

 

だいぶ、並んできました。歯並びに沿ってワイヤーが波打っていますが、形状記憶合金なので、その力で歯がキレイなアーチ型にならべられていきます。

 

2014年9月 56歳 女性 下顎前突 全顎マルチブラケット症例

 

完成です。右上の二番目の歯は歯科用の樹脂でほぼ本来のサイズに修復しました。
左上の一番前の歯のかぶせと、右下の折れていた前歯も同様に樹脂で修復しました。

 

2014年9月 56歳 女性 下顎前突 全顎マルチブラケット症例

 

左上の四番目のかぶせも歯の頭と根の方向があっていなかったので、現在は仮のかぶせになっています。咬みあわせが落ち着いてから、左下のブリッジと共に再製予定です。

 

歯並びの矯正というと、「子供しかできない」とか「今さらもう、、、」とか成人になり年齢があがるほど、腰がひけるものですが、この方のように年齢によって治療が出来ないということはありません。期間的にも、一般的な同様の歯列の治療期間が約二年から二年半程度のところ、この方の場合では1年七ヶ月ですので、むしろ早いほうです。

日本人の平均寿命が80歳を超えた現代(男性平均寿命80歳、女性87歳)、先述のように50歳で「今さらもう、、、」といわれた方も人生はまだもう30年もあるのです。「もっと若いうちにしておけばよかった、、、」と後ろを向いて生きるよりは、今出来ることがあるならば常に前に向いて進む人生って素敵だと思いませんか?

 

2014-12-03 14:09:14

コメント(0)

  • 件 (全件)
  • 1